第223夜 「小学生の思考、チンパンジーの思考」
 小学校三、四年生のころに戻っている。
 猛暑で、あまりの暑さにビデオ屋なども閉まっているらしい。アスファルトもところによっては溶け出している。
 こういうものすごい暑さは『タンタン』などで描写されているとおり、太陽黒点の数が異常に増えたり減ったりしたことによる一過性のものなので、パニックになることはない。自宅で、一人で、スーパーファミコンによる『マリオ』をやっている。
 スタート地点から二番目の大陸の北側にある、奥深い森(「迷いの森」ではない)を、ヨッシーに乗って進んでいく。
 しかし、この猛暑が、地球温暖化と、ヒートアイランド現象の相乗効果によるものだったら? 一過性のものではぜんぜんないとしたら?
 『マリオ』のなかの森が、いったいどれほどありがたく感じられることだろう。

 八〇年代中頃のファッションのまだ痩せ型の父が、父の自室から、居間で『マリオ』に興じているうちを呼ぶ。 
「Vieni con!(ちょっと来て)」
 なぜかイタリア語だ。
 そういえばこのころはセリエAが流行りだしたころだったかもしれない。
 そしてまだ、黒縁のボストン型眼鏡が「ダサ眼鏡」と呼ばれることなく、単なる眼鏡だったころだ。だから父はボストン型眼鏡=「ダサ眼鏡」に、襟のとがった白いワイシャツ姿でも、平気でいられる。
 父の四畳半は、冷蔵庫ぐらいに冷やされている。これは「設定温度は28℃」がスローガンになる前の、よくある状況。
「×××(携帯音楽プレーヤー)に、このアルバム(井上陽水? キース・ジャレット?)を入れたいんだけれど、こっちだと10GBになって、もうひとつのほうだと2GBなの。これはなんで?」
 そう聞きながら、父はUSBのような×××(携帯音楽プレーヤー)を、二つ、指し示す。
「考えられるのは、どっちかの×××が壊れているということ。そうでなければ、10GBになる方の×××は、アルバムに入っている音楽の情報だけではなくて、そのアルバムのCDとしての形状や、反射の具合、硬さ、そういうのまで保存しようとしてしまっていること。だから、8GBぶんの余計なメモリーを使うことになる。そういうときは、パソコンのなかにダミーのCDアルバムを作っておいて、×××に、ああ、自分は音楽の情報だけを保存していればいいんだな、って思い込ませるのがいいと思うよ」
 それにしても、2GBのアルバムとはいったいなんだろう。十年くらい前はなんでもかんでも、こんなに大容量だっただろうか?
「ぶぶー、どちらもハズレ」
 父が嬉しそうに言う。
「10GBになった×××は、おなじアルバムを五枚入れたのでした!」
 まるで実験室で実験されているチンパンジーになったような気分だ。
 つまり父は最新機器の×××をうちに見せたかった、ということなのだと思う。
 こういうときに、どういう顔をしていいのかわからない。
by warabannshi | 2009-01-07 08:17 | 夢日記 | Comments(0)
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