第235夜 「温泉街で、三遊亭楽太郎と」
 長屋みたいな旅館が寄りあつまった小さな温泉街の、一つしかないバス停で、三遊亭楽太郎を待っている。彼に、なにかの合宿で高座をやってもらうために。ゼミの後輩(年上)Fと、このバス停で、彼を乗せたバスを一時間くらい待ちつづけているはずなのだが、バスは一向に来る気配がない。
 何かを待ち呆けているあいだは、とにかく寒い。あたりには雪がまだ積もっている。バス停は小学校の隣に屋根付きのものとしてあるが、当然、小学校はずいぶん前に廃校になっている。屋根も、青空が見えるくらいに薄くて穴が開いている。
「こんなに遅れているということは、バスジャックですかね?」とうち。
「いや、アニメの見過ぎでしょう」とF。
 アニメを見過ぎているのは、一時間ほど遅れているバスの運転手なのか。三遊亭楽太郎なのか。それともバスの遅れを「バスジャック」と予測したうちなのか。
 いつの間にか、バスはやってくる。
 白いダウンジャケットを着た三遊亭楽太郎が、馬鹿でかいリュックサックを背負ってバスから降りてくる。
 リュックサックの右の肩掛け部分が、ひねられて、裏部分のパッドが表になっている。
 自分を待っていたうちら二人を見つけて、あ、どうも、よろしくお願いします。と小声で呟くように言う三遊亭楽太郎は、落語家というより女形みたいだと思う。
「ほら、ちゃんと荷物ぐらい持たなきゃ!」とFに脇腹を小突かれる。
 そういうものか? 荷物を持たなきゃいけないくらいに三遊亭楽太郎は偉いのか?
 それとも、無理いって、ものすごい安いご祝儀(地域振興券)で来てもらったとか?
「リュック、お持ちしましょうか?」
「助かります。重いですよ」
 そう言って渡された黒いリュックサックは異常に重い。
 リュックサックを背負ったまま歩けなくなっているうちをバス停に置いて、Fと三遊亭楽太郎はなにかの合宿が行われている宿に向かう。その宿の名前は「すずめばち荘」。三百年間ほど、スズメバチたちが、宿屋の壁にある巨大な巣を、さらに巨大なものに造りかえつづけている、伝統の宿屋。
by warabannshi | 2009-02-19 10:39 | 夢日記 | Comments(4)
Commented by 新潟の映画バカ at 2009-02-19 22:40 x
ひさびさに。

「労働」が幅広すぎて、毎日泣いています。

労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第519条第1項、同第2項
作業床の端部の養生又は安全帯等の使用。
法令は2次元。
しかし、労働者が墜落してな亡くなっている又は永久労働不能に陥っているという3次元の現実が確実にあって、実際にそれを目にしました。(いわゆる、焼き鳥が食べれなくなる、という現象)

労働者の安全衛生を守る、なんとも責任重大。ともすると、それは、労基法の賃金支払よりも重いのかもしれない。人の命、それは賃金で買えまいし、代えられまい。


Commented by warabannshi at 2009-02-21 00:57
うちは今日、修論の中間発表が終わったよ。パワーポイントを使った発表は、あとは生物多様性保全学の一般公開のだけだ。
週1.5回ペースで研究発表があった二月もあと一週間。
暖かい部屋でトリュフォーを観たい。


「焼き鳥が食べれなくなる」ってどういうこと?
墜落して、流動食しか食べられない体になってしまったという状況?
墜落して永久労働不能に陥るっていうと、『ファーストフード・ネイション』の食肉加工工場みたいな職場が現に多いってこと?
Commented by 新潟の映画バカ at 2009-02-22 12:52 x
おぉ、ファストフードネーションを観ているとは、さすが。
もちろん私も観ました。(リンクレイターは『恋人までの距離』と『ビフォアサンセット』が素晴らしい。『ウェイキングライフ』は先輩が気に入る作品かと思います) で、現場では、あんな危険な箇所はごく稀にしかないです。むしろ、法をきちんと守っているのに災害が発生してしまうことがあって、なかなか厄介。

暖かい部屋でトリュフォー、いいですねぇ。クルーゾーの作品を涼しい部屋で観るのもいいですよ、ということでクルーゾー作品はお勧め。
恵比寿ガーデンシネマでダルデンヌの新作、これもいいですなぁ。
Commented by warabannshi at 2009-03-03 20:27
『ロルナの祈り』、前売り買ったよ! あー、早く観たい。
<< 探索準備01 『「盗まれた手紙... 『マタイ受難曲』2部38番「ペ... >>



夢日記、読書メモ、レジュメなどの保管場所。
by warabannshi
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
twitter
カテゴリ
全体
翻訳(英→日)
論文・レジュメ
塩谷賢発言集
夢日記
メモ
その他
検索
以前の記事
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 11月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 03月
2007年 01月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2004年 11月
2004年 08月
2001年 12月
記事ランキング