探索準備03 『ニーチェと悪循環』読書会(p.321~):?(2)回目 予習

ニーチェと悪循環 (ちくま学芸文庫)

ピエール・クロソウスキー / 筑摩書房



 『ニーチェと悪循環』全体の索引を作成中。まだ、語句を選別している段階。
 充分な索引がついていないせいで読まれなかったり、あるいは無駄に読みにくくなっている良書がどれだけあることか。おまけに『ニーチェと悪循環』ときたら、引用されているニーチェの断章が、ニーチェの遺稿のどこにあるかすら明記しておらず、おまけにこの本の邦訳はニーチェのドイツ語をフランス語訳したものを日本語で二重に訳しているわけだから、さらに事態はややこしくなっている。
 索引も引用先もあえて(?)明記しなかったクロソウスキーの気分もわからないではない。
 ふつう、小説には、索引も引用先も明記されない。ときには『百年の孤独』や『枯木灘』みたいに登場人物一覧や家系図が付記されることもあるけれど、その登場人物が、一冊の本のどのページに現れるかまでは書かれていない。
 それは小説に索引や引用先が必要ないからではない。索引や引用先は“一冊の本”というユニット性を解体させる切れ目となるからだ。(古川日出男は『ルート350』の後書きで、これと同じ理由から初出一覧が嫌いだと言っている)
 論理的な、語句レベルでの整合性を優先させて読むと、むしろ作者が素描している大意が分からなくなって読みづらくなる本は間違いなくある。そういう本は小説に限ったものではなくて、例えば保坂和志の小説論だったり、H・G・ガダマーの解釈学系の論文のすべてに言えることだったりするのだけれど、いずれの作品も、それぞれの“一冊の本”というユニットが帯びている不可思議な統率性、つまり、一般的な論理に因らない整合性こそが固有の持ち味であったりする。だから、索引や引用先が、ほんとうに稀な場合ではあるけれど、素材としての持ち味さえも減らしてしまうことがあることは考える必要がある。
 とはいえ、『ニーチェと悪循環』は、もっと読まれてほしい本であるし、ただでさえ悪文なのだから(これは翻訳がどうこうというよりクロソウスキーのフランス語がやたらと複雑であることが原因だと思う)、まだぜんぜんできていない索引が、そのうち完成して、それが読み進めるうえでのなにかしらの取っかかりになれば良いと思う。

[『ニーチェと悪循環』索引 第一回中間段階]
【あ】
・Cercle vicieux(悪循環)
―Cercle(円環)
―signe da cercle vicieux(悪循環の記号)
―神としての悪循環
・意識
・陰謀
・運命
・Éternal Retour(永劫回帰)
―Retour(回帰)
【か】
・machnerie(機械仕掛け)
・projet((選別の)計画)
・principe de réalite(現実原則)
【さ】
・Philosophe imposteur(詐欺師としての哲学者)
・自己同一性の原則
・Sils-maria(ジルス・マリーア)
・simulacres(シミュラークル)
・maîtles(主人)
―maîtles de la terre(大地の主人) 
―des maîtles et des esclaves(主人と奴隷)
・情動
・physiologie(生理学)
・sélection(選別)
Dressage et sélection(訓育と選別)
projets de sélection(選別の計画)
【た】
・Darwin(ダーウィン)
―anti-darwiniste(反ダーウィン主義)
・Volonté de puissance(力への意思)
・singuliers(特異体質)
・esclaves(奴隷)
【な】
・日常的記号のコード
【は】
・秘教的な
・phantasme(ファンタスム)
・不可能性
―思考することの
【ま】
・マルクス主義
・philosophie de l’avenir(未来の哲学)
・無意識
・lucid(明晰さ)
・模倣
【や】
・有罪性
・prévoit(予見)
【ら】
【わ】

by warabannshi | 2009-03-20 23:49 | メモ | Comments(0)
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