「ジェノサイド・パーク」という動物園に、少年と一緒に来ている。少年は、どう考えても爬虫類、あるいは恐竜から進化したとしか思えないウロコの肌。そのウロコの肌の少年と、毛のない哺乳類の肌の私は、同性愛の恋人同士。
恐竜人類の少年の名前はナランチャだが、『ジョジョ Ⅴ』の登場人物とは、何の関係もない。
「ねえ、『ボーイ』と言ってよ」
そうナランチャは言う。彼は少年だから「ボーイ(boy)」と言うことには何の抵抗もないけれど、その甘えが何かの罠であることが察せられるので(例えば、ナランチャの父親が、私(太田)がナランチャを「boy」と馴れ馴れしく呼ぶことをこっそりと聴いている)、あいまいに濁す。
動物園には、ベンチの代わりに、白いぱりぱりのシーツが敷かれた寝台がところどころに置かれている。
動物園を二人で歩いていると、肉食獣のゾーンに着く。
ものすごい腐肉臭が漂っている。肉食獣の食べ残しが腐っているのか、あるいは餌がそもそも腐肉なのか、どちらかわからない。臭いのせいで吐きそうになるが、boyは平気な様子でずんずん奥へと進んでいく。
爬虫類、あるいは恐竜から進化した人々には、そもそも鼻の穴がないのかもしれない。