第242夜 「仕事を探す 下北沢、国立」
 仕事を探すために外に出ている。
 リクルートに勤めている友人Nが、私の家からずっと南にある駅の求人情報をくれたので、東西にしか走っていない井の頭線から南へ向かう電車へと乗り継ぐために、「下北沢」に来ている。

 いつのまにか、「下北沢」はすっかり変わってしまった。
 駅の周りの雑然とした街並みは、巨大な駅ビルのなかにすっぽりと移しかえられて、キッチュなショッピング・モールと大差ないことになっている。池袋のナンジャタウンを薄味にしたような感じ。「横浜」や「桜木町」、「聖蹟桜ヶ丘」には、こういう迷路のようにデザインされた屋内商店街が、ありそうな気がする。しかし。迷路としてデザインされた迷路ではだめなのだ。
 こうなってしまっては、「下北沢」もおしまいだ。
 しかし、そこの角の狭いけれど質素な立ち食い蕎麦屋では、五歳くらいのときに祖父といっしょに温かい蕎麦(梅味)を食べた記憶が、まちがいなくある。
 また、「下北沢」駅ビルの屋上では、あんパンを専門に売っている屋台があるはずだ。
 なぜ、一度も来たはずのない「下北沢」駅に、ないはずの記憶があるのか、どこになにがあるかわかるのか?
 わからずに走り出すと(面接の時刻に間に合わないので)、マイセンのカツサンド屋があり、ここには【第44夜】でも、リクルートスーツを着て訪れたことがあることが知られる。駅ビルの外には、巨大な真四角の、野菜の集荷センターを見ることもでき、そこで白菜やキャベツをバイクで運ぶアルバイトをしていたこともあることも知られる。
 もしかしたら、ここには、いくつもの駅ビルが集合され、部分的には重なっているのかもしれない。逆に考えると、他の駅ビルから、通路さえ見つければ、一瞬のうちに、この「下北沢」の駅ビルに来ることもできるのだ。
 むしろ、じつは駅ビルは、ただ一つしかなく、「下北沢」や吉祥寺(パイプオルガンのある駅)、“E.T.(エンターテイメント・ティーチャー)”がいるあれらの建造物は、ただ一つの駅ビルが異なる場所で現れたから、異なる場所のように思えるのかもしれない。
 駅のコンコースに向かって走っていたはずなのに、いつのまにか野菜集荷センターと「下北沢」駅ビルの隙間の、薄暗い道を走っている。薄暗いのは、建物のせいではなく、すでに夕暮れであるから(けれど、この道から二つの他と物は、どちらも光を吸いこむモノリスのようにまっ黒な塊だ)。腕時計を見ると、もう面接には間に合わない時刻になっている。


 国立のとある中学校で、生物科の非常勤講師となるための面接を受けようとしている。
 面接場所となる理科実験室には、ずいぶん朝早くから来ているのだが、まだ私以外は誰も来ていない。
 他の教室では中学生たちを相手にした授業が始まってしまい、所在ない気分になる。
 いつのまにか、理科実験室の机で眠ってしまったらしく、気がつくと、ここでも、授業が始まっている。
 黒板にはヒル反応やカルビン・ベンソン回路が書かれていて、光合成と糖についての授業がなされていることがわかる。なぜか、糖を、“ぬいぐるみの自動車をくっつけた磁石”によって示しているが、わかりやすい。
 これから自分がやることになる授業の参考に、もっと板書を見たいのだが、さっきから眼鏡がない。
 いや、眼鏡なら五、六個、手探りで見つけることができたのだが、私自身の眼鏡がない。
by warabannshi | 2009-04-15 17:22 | 夢日記 | Comments(0)
<< 「言葉への通路・私への通路」谷... ラカン断片 >>



夢日記、読書メモ、レジュメなどの保管場所。
by warabannshi
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
twitter
カテゴリ
全体
翻訳(英→日)
論文・レジュメ
塩谷賢発言集
夢日記
メモ
その他
検索
以前の記事
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 11月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 03月
2007年 01月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2004年 11月
2004年 08月
2001年 12月
記事ランキング