第244夜 「初めての覚醒剤(PISPOT)」
 夜十時ごろ、「80年代末からレズビアン同士」という二人の女性の住む二階建てのプレハブに、遊びに来ている。二人の名前は知らない。二人は片方が詩人で、片方が漫画家だ。どんなペンネームを使っているかはさておいても、戸籍謄本にのっているのは、ごく一般的な日本人女性の名前なはず。「夏子」? 「あざみ」? まったくわからない。とりわけ、二人の女性のうちの一人「A」は、私の小学校の同級生で、小学生のころからきゃんきゃんした声、声というよりしゃべり方、イントネーションの置き方をしていたが、それは酔っぱらっているいまも変わりがない。

 二人の女性の住む二階建てのプレハブに、遊びに来ている、というより、ものすごく酔っぱらったAに、強引に彼女の住んでいるプレハブまで引っぱられてきた。
 出入り口は階段をあがった二階にある。
 玄関のドアをあけると、すぐ足下に小型の冷蔵庫があり、それに体をもたせかけるようにしてBが体育坐りをしつつ、恍惚としている。
「ああ、もう。PISPOTはあと一箱しかないってえのに!」
 泥酔していたはずのAは、意外とてきぱきと、弛緩しきったBの体をずるずると、奥の八畳くらいの広い部屋に引っぱっていく。玄関に立ち尽くしたまま、よく見ると、八畳の部屋の窓際には男性が一人、眠っている。
「あれ、Bのお父さん?」
「PISPOT。冷蔵庫のなかにまだ一箱あるはずだから、出して吸っていていいよ」
 冷蔵庫を開けると、フランス煙草・ジタンのパッケージによく似た、けれど青緑色の煙草の箱がある。箱は開けられていて、かなり太めの一本を引き抜いてみると、フィルターに何か染みこませてあるらしく、ひやっとして、湿っている。
 一口、吸ってみると、体を置き去りにして、後頭部だけ百メートルくらい後方に遠心力で吹き飛ばされてしまうような感覚があらわれる。空間が、無数の関数に足りているような感覚。
 そして、耳栓がとれたように、あらゆる音がネオンサインのように聞こえ出す。
●二階建てのプレハブのトイレから眺めることができる、駅(上板橋駅?)のプラットホームで、小学生がなんとかごっこをしながら大声で言い合っている。「あいだから、愛は生まれる!」「愛だから、あいだから!」
●それなりに由緒正しい寺の境内で、自衛官募集の呼び込みがなされている。その寺は、ある大学前を経由する市バスの終点なので、大学をエスケープした大学生をねらっている。
●ゲームセンターの店内のような様々な電子音。あるいはテクノ。
 八畳の寝室をのぞきこむと、二人の女性の一人が、横たわったもう一人の顔に、盛大に吐瀉物を吐きかけている。反吐まみれのもう一人は、意識があるのに、起きあがりも怒りもしない。
 【詩人のキスは、つねにこのようなものだ】というテロップが流れる。
 だが、詩人が、同級生のAなのか、それとも初対面のBなのか、どちらとも判別がつかない。

 翌日、トイレに立つと、駅(上板橋駅?)のプラットホームを眺めることができるはずの窓は、当たり前のように存在していなかった。
by warabannshi | 2009-05-04 09:04 | 夢日記 | Comments(0)
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