体内に地図が陥入している。
臍から背中にかけて、水平方向に、地図で胴体を真っ二つにされているように、外からは見ることができる。
外から、つまり、地図が陥入している私の(?)体が、まっ暗な宙に浮いている3Dホログラムを、360°、どの方向からでも眺めることができる。
その3Dホログラムによると、臍、あるいは臍のやや下の一点から、まるでインフレーションが起こったかのように、背後に向かって巨大な地図が、広がっている。目の前には広がっていない。なにも広がっていない。
体内に陥入しているのは、Google mapとかではなく、1:1地図なので、いよいよ背中の方向に向かって胴体をちぎられているようにしか思えない。そして、当たり前のように、まったく痛みはない。
しかし、体は動かない。
皮膚の下のあらゆる器官が、すべてグラス・ファイバーになってしまったかのように。
しかし皮膚はたしかに皮膚で、有機体であり、その皮膚がゴムのようにのびて、陥入している1:1地図の触感(というか存在感)を伝えている。
見えないはずの、体に陥入している1:1地図のいたるところで起こっている、いくつかの情景を見る。
それらの情景が、私(?)の見る諸々の夢であるということ。
その原理。
ドヴォルザークも、このなかにしかいない。