第253夜 「大阪湯野遊園地、酔問漢、に行ってきた」
 大阪のほうまで用事で、父親と来ている。なんで来ているのかわからない。
 もしかしたら日本ラカン協会の発表のために来ているのかもしれない。
 というのも、スーツを着ているからだ。

【ありうるバージョンを、回想する……】
 昼間。
 重厚な石造りの建物(大正十年ごろに日本橋にありそうな、「モダンな」建物)。
 エレベーターに乗って、八階か九階にのぼると、廊下や壁がきれいにコーティングされたフロアに出る。(東大柏キャンパスの研究棟のような、「ハイパーモダンな(?)」フロア)。
 そのフロアのどこかで、ワークショップは行われていて(それとも査問会だったか? カフカの『審判』のような?)、発表をしなければならないはずなのだが、どこだがわからない。
 しかも、昼食を食べる時間を見誤って、発表を始める時間を大幅に遅刻してしまっている。
 しょうがない、片っ端から教室を見てまわろう、と思い立ち、近くにあったスライド式のドアを開ける。すると、農工大のゼミ生であるFとMが、二人で、会場の片づけをしている。
 「ここはもしかしてワークショップの会場だったの?」とたずねるべきなのだろうが、すでにワークショップは終わってしまった、という事実がおそろしすぎて訊くことができない。

 そう。
 もしかしたら日本ラカン協会の発表のために来ているのかもしれない。 
 でもいまは、小雨のふるなか、さびれている名前の知らない遊園地を、一人で歩いている。
 電車代がもったいないので、宿泊先のホテルまで歩こうとしているのだった。
 ポップコーンやチュロスを売る屋台がいくつも、うち捨てられて、雨ざらしになっている。また、ロッテリアの壁にはベニヤ板が打ちつけられて、[7/22に営業開始!]と赤いスプレーで書かれている。が、何年の「7/22」なのかはわからない。もしかしたら、去年やおととし、「営業開始」させる予定だったのかもしれない。けれど、ブースのなかには人がいる気配がするから、もしかしたら、もう「営業中」なのかもしれない。
 
 とにかく雨を避けなければならないので、『酔問漢(館?)』という遊園地のなかの建物に入る。

【ありうるバージョンを、回想する……】
 ワークショップでの質問。
「賢治はそんなに酒好きだったの?」
 その質問に対する回答。
「どうでしょうか。でも幻聴や白昼夢をしょっちゅう見ていた彼のことですから、もしかしたらアル中だったのかも……」

 『酔問漢(館?)』のなかは意外なほど混み合ってる。
 そうか、この遊園地はさびれているのではなくて、雨で平日だから、みんなこの『酔問漢』のなかで遊んでいるのか、と思う。じっさいのところ、カップルと母子連れが多い。『酔問漢』なのに。
 途中で、缶コーヒー(ブラック・加糖)が異常に安いので、段ボールで二箱ごと買う。
 そうすると二本、おまけしてくれる。
 缶コーヒー(ブラック・加糖)の段ボールを乗せたキャリーをがらがらと押しながら、『酔問漢』を通り抜けるために歩く。相変わらずの人混みである。
 長く長く歩くが、いっこうに向こう側に着かない。
 喉が渇いてきたので、おまけの缶コーヒー(ブラック・加糖)を二本とも飲む。が、焼けるように甘く、さらに喉の乾きは深刻になり、近くにあったウォータークーラーで水を飲みながら、何度もうがいする。うがいをするたびに、黒いコーヒーを吐きださねばならず、うんざりしてしまう。後ろを本物の酔っぱらいのおじさん二人組が通る。缶コーヒーの缶の材質はアルミニウム。

 なんとか『酔問漢』を抜けると、なぜか高速道路の高架下で、もうすっかり夜の気配がしている。雨は止んでいる。
 早く泊まる場所に行き着かなければ、と思い、高速道路と垂直に交わる、歩道付きの坂道を左(上り)へ向かおうとする。そのときにコンクリート片に書かれていた落書き。
〔(交わされているのは?)二つの言葉しかない。本当の事実を伝える言葉、と、それ以外。
 それ以外の言葉は光のもとでは暗愚であるために、すぐそれとわかる。というのも痛みがないからだ。〕

 歩道付きの坂道を上りはじめる。いつのまにか、二箱分の缶コーヒーは敷き布団と掛け布団に変わっており、それを背負って歩いている。
 前のほうにも、スーツ姿で、布団をかついで坂道を上っている人の後ろ姿が見えるので、それに着いていけばいいや、と投げやりにそう思う。
 坂道を上っていくと、いつのまにか、さっきの遊園地の横に来ていて、巨大な看板によってこの遊園地が、
『大阪湯野遊園地』
 という名前だったことがわかる。湯野、というのは、ここいらが温泉街だからだろう。
「午後7時半~午後8時 宿泊手配 無料」とも書かれているので、もうここで布団を担いだまま午後7時半まで待って、近くの宿泊所を探して貰おうと思う……

 
 ……という夢を見たよ、と、彼女Fに電話で話すと、
「そんなことより、貸しておいた、鉱石とハンマー、今度会うときにちゃんと返して下さいね」
「ああ、うん。大丈夫。遊園地で置いてきちゃったと思うけれど、また、同じのを買っておいたから」
「遊園地、って夢のなかのでしょう? しっかりして下さいよ。あれ、大事なものなんですから」
by warabannshi | 2009-06-14 16:11 | 夢日記
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