奥多摩のほう? 檜原村あたり? とにかく、ある程度、昆虫の多様性が保たれているくらいの山奥に、自然学校がある。小学校から高校までの学年に対応しているが、いわゆるフリースクールではなく、進学率の高い名門校としてよく知られている。生徒数は全て足しても百人くらい。
そこに、どういうわけか私は転校する。たぶん小学校の五、六年として。 最初の授業は[美術]。美術室。 にぎりこぶし大の粘土でなにか作れ。 という自由課題を、二十代半ばの男性教師が出す。 転校したてなので良いところを見せようと思って、粘土をこねだすと、ルネ・マグリットの絵のような不穏な幻覚がちかちかとまたたきはじめる。 【麻薬入り粘土をこねたときに見た幻覚…】 ゲームのような青空と雲、そしてだだっ広い芝生の上に、幾何学的な規則をもってならされているような道。その道の上にいつの間にか一人で立っている。 ものすごく明確な世界。 サングラスをかけた、人間ほどの白い犬が、どこからか走ってくる。 白い犬のかけているサングラスはふつうのそれではなく、エメラルドグリーンで、スキーゴーグルのような、右目と左目のあいだもつながっているやつ。 しばらく白い犬と一緒に連れだって歩く。 しかし、「妊娠線をなめてみたい」、「 両手でかかげるようにして犬の首をしめながら、犬が首輪をしていることに気づく。 首輪にはなにかが書いてある。白い犬は大人しいながらもなかなか絶命しないので、両手をはなせず、首輪に書いてある字が読めない。 次の時間なのか、それとも次の次の時間なのか、[生物・地学]の授業。 四人の班で、学校の周辺の植生図や、昆虫の分布などをしらべてくるように、とのこと。 太宰治と一緒の班になったので、(これは荒れそうだ…)と思いきや、彼はずいぶんローテンションなので、静かに実習ができる。 「腐りかかってぼろぼろになった小屋が近くにあるんだけど、夜になったらそこにライトを持ち込んで、蛾とか蜘蛛とか、集めたらどうかな」 小坊主みたいな男の子が言う。 宇宙服を着ないと、そのライトの近くに寄るのは嫌だ。 ふと見ると、手のひらサイズのオタマジャクシが、ちゅぱちゅぱいいながら壁をのぼっている。 こんなところにいたら干涸らびてしまう、とおもい、私の手にのせる。 「にぎっちゃだめだよ! 両生類は、人間の体温でですら火傷するんだから!」 知っている。 窓の外に放り投げるだけだ、外は雨だし、大丈夫だろう。 窓をあけて、オタマジャクシをぽいっと放り出したあとで、いつの間にかここが四十階建てくらいのホテルの一室であることに気がつく。 オタマジャクシが墜落死したかすかな音が、雨音に混ざって、聞こえる。
by warabannshi
| 2009-06-22 10:32
| 夢日記
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