ソメイヨシノの林を歩いていたら、毛虫(黒地に赤の模様、体長は四センチほど)を十数匹ほどあびてしまったので、あわててTシャツを脱ぎ捨て、近くにあった小屋にシャワーを借りる。
小屋のオーナーは、髪を肩まで伸ばして金色に染めた友人・I。
シャワー室は、なんとなくアウシュツビッツのガス室みたいな不吉な広さの木造作りで、壁面にはカビが色とりどりのだんだら模様をなしている。P.クリソゲヌム。パッと見たところによると、景気よくペンキをぶちまけたあとが、二十年程の歳月に風化したようでもある。
いくつもある蛇口の、下にすのこが敷いてある二つだけが使用可能で、ちゃんとお湯は出る。
すでに右手の甲が赤くかぶれはじめているが、痒みはない。