第264夜 『かちかちやま全集』*
 THUTAYA浜田山店に彼女Fと来ている。一階の本屋のフロアで、Fが占いかスピリチュアルかの書籍のコーナーで本を立ち読みしている。手持ちぶさたなので、きょろきょろしていると、スピリチュアルのコーナーから少し逸れたところに、『精神分析の倫理』【上】【下】が新刊本として並んでいる。
「そんなバカな!」
 いつの間に再版がかかったのだろう?
 【下】のほうを手にとって奥付を見てみると、「2010年7月」。
 なーんだ、あと一年待たなければならないのか、と思い、即買いするつもりだった【下】を本棚に戻す。【下】はすでに発行されている版より二回りほど分厚くなっている。註釈が増えるのだろうか。
「あっちにもっと大人っぽいコーナーがあるよ」
 四十代くらいの夫婦が、そう言ってその本棚の裏側に行く。
 この本棚の裏側は児童書のコーナーだったはずだけれど?
 と思いながら、本棚の裏側に行くと、絵本のコーナーがものすごい拡大されている。
 『日本昔話集 全10冊』みたいな絵本の詰め合わせボックスはすでに売られているのを見たことがあるけれど、それだけではなく、『かちかちやま』や『花咲』みたいな個別の昔話ごとに、異なる作者の絵本が詰め合わされているボックスが並んでいる。同じ昔話に、これだけ違う作家・挿し絵画家が描いているのか、と思い、なんだか感動にうたれる。
「すごいね、ここまでくると絵本じゃなくて、研究書にしか見えないね」
 いつの間にかFが隣にいてそう言う。まったくその通りだと思う。
 『かちかちやま全集』から適当に一冊を抜き取って、ぱらぱらと捲ってみる。

【『かちかちやま全集』のなかの一冊】
 二十ページくらいの絵本。文章は書かれていない。だから画集のような感じ。
 最初のページから、たぬきとうさぎが出てくる。
 たぬきは萱を背負うのではなく、リヤカーに乗せて歩いている。
 うさぎはその萱にとくに火を点けるわけでもなく、まるでそういうコンビであるようにたぬきの隣にいる。たぬきのほうがうさぎより二倍半ぐらい大きいので、熊のようにも見える。藤田嗣治の書く猫に似ている。
 風景はものすごく細密に描かれていて、ラファエル前派のそれのように緑の濃淡がすばらしい。
 二匹は、踏み切りをわたったり、ホオズキの生えている漁村を通ったり、いろいろな日本的風景を通る。
 そのまま、たぬきは萱をリヤカーに乗せてひっぱりつづけ、うさぎはそれについて回る。
 このままずっと二匹は絵本の風景のなかを歩きつづけるのだろう。
 いい話だ。と思う。大人の絵本だ。
by warabannshi | 2009-07-12 10:05 | 夢日記 | Comments(0)
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