【告知】 塩谷賢さんの「科学哲学」講義がはじまりました。
 塩谷賢さんの「科学哲学」講義が、法政大学ではじまりました。
 ご存じの方もいると思いますが、塩谷さんはこんな方です。
 茂木健一郎さんの紹介文によると、こんな感じです。
おしら様=塩谷賢(Ken Shiotani)
1962年生まれ。東京大学理学部数学科卒。同修士課程修了。厚生省に勤務するも、哲学的使命の自覚止まず、結婚を機に東京大学大学院科学史科学哲学専攻に入学。故廣松渉氏に薫陶を受ける。一貫して「時間論」に興味を持つ。その異才は、日本哲学界で知らないものはいない。一方で大変なグルメであり、どこかに旅行してうまいものを食べたくなったら、塩谷に電話して、「今○○にいるんだけど、どこかうまい店知らないか」と聞くと、常に的確な答が返ってくると言われている。バリトンの声で歌うこともある。

 私が塩谷さんに会ったのはいまから二年前、芸大の「芸術解剖学」の講義を聴いてからで、その時以来、ずっと“おっかけ”をしています。(“おっかけ”と言っても、塩谷さんは日本全国の大学・研究機関はもちろん、海外の国際学会にもしょっちゅう足を運ばれるので、トータルで見るとぜんぜん“おっかけ”られていないのですが)
 「桁外れの」、「圧倒的な」、「名状しがたい」という形容詞がふさわしい学殖を備えた方なのですが、ほとんど世間に知られていないのは、ひとえに論文や本をいっさい書かないから。そして研究機関にも属していないし、大学で講義も持っていなかったから。それでも、量子論、科学哲学、精神分析、A・N・ホワイトヘッド、数学、理論生物学…etcの学会では、何かが爆縮しているかのような話しぶりで塩谷さんの存在は多くの人に知られています。知る人ぞ知る“巨人”。
 そんな塩谷さんが、09年後期、法政大で「科学哲学」の学部生向け講義を一コマ、持たれました。
 ポイントは「学部生向け」というところで、塩谷さんが①学会発表ではなしに、②一人で90分間、③毎週決まった場所・時間で話すことは、本当に、ほとんどありません。少なくとも、自分は今回が初めてです。

 今日が第一回の講義で、さっそくもぐってきました。
 そして確信しました。これは多くの人に塩谷さんの講義のことを知らせなければもったいないと。
 講義を録音した音源をテープ起こしして、こっそりと別ブログにアップする予定だったのですが、眼前で次々と言葉が湧きだしてくる昂揚感までは伝えきれないので、ここで講義要項を紹介したいと思います。
 幸い、教室も広くてルーズな雰囲気なので、多少、見物人が増えても文句を言われることはないでしょう。たぶん、これからも。

 法政大のシラバスに掲載されている講義要項は、以下の通りです。
 質問などある方はコメント欄でお願いします。

法政大学@市ヶ谷キャンパス 55年館 552教室(5F)
毎週月曜日 11:10~12:40

科学哲学Ⅱ
哲学特講(8)-2

●到達目標及びテーマ
科学に疑問を持っている学生を対象に、科学についての考え方をシステムや有機体論の観点から議論し、科学及び哲学に対する大局的な見方を得るとともに、自らの哲学の介入点を探ることを目的とする。

●授業概要と方法
講義形式をとるが、授業時間中の討論も重視する。授業中の質問は大いに歓迎する。

●授業計画
1 導入:全体についての予備的考察を行う。
2 哲学をする:行為としての哲学の捉え方を考える。
3 世界観について:思考の対象としての世界について考える。
4 システムについて:システム、有機体という概念について議論する。
5,6 科学・技術というシステム有機体:科学と技術を相対的に自立した複合的システムとして考える。
7,8 科学哲学という営み:様々な科学哲学の概要を紹介し、その立場に検討を加える。
9 科学史という営み:科学史の思想的立ち位置について考える。
10,11 社会における文化としての科学・技術:科学・技術をより広い文脈に置き、そこに生じる様々な問題について考える。
12 学・知の体系と科学技術:人文学、政治・経済との関係を考える。
13 思考図式としての哲学:システム間の交流要素としての哲学を模索する。
14,15 自らの生き方としての哲学:“哲学をする”ことの具体例として、これまでの内容を検討し、討論を行う。


 第一回の講義のテープ起こしは、終わり次第、アップしたいと思います。
by warabannshi | 2009-09-21 22:54
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