灯台守を務めることになり、それまで四人の仲間(動物生態学者の見習い)とシェアして暮らしていたアパルトマンから引っ越すことになる。自分の荷物を取りに行くために徹夜で部屋まで歩く。引越しの感傷にひたりながら、板チョコがうまい。
昧爽、ドアを開けると、さっそくロフトへ上る階段に仲間の一人(女性、27歳くらい、スーツ姿)が寝袋で寝ている。まだ彼女には引越しのことは伝えていない。嫉妬深い仲間たちには、何も知らせたくはない。寝袋を揺すり、起こすと、不機嫌そうに彼女は言う。
「今日の朝から、オオタカ(私の渾名)の部屋を借りるよ」
「構わないですけど、吐くほど汚いですよ」
ロフトの上の自室を開けると、ボアの骨格標本が転がりでてくる。
「何これ、サンマの骨?」
「どんだけデカいサンマですか」
やがて、私が灯台守になったことを仲間たちは知り、嫉妬のために私に強姦の冤罪を着せようとする。
「このテープを聞いてください」
裁判所で、中国系アメリカ人の友人(女性、同年代)が、いつの間にか私との会話を録音してコラージュした、強姦の“証拠物件”を流す。コラージュは信じられないほどの完成度で、いっそ清々しい。