活火山の調査のため、方々から来た調査隊と一緒に、ふもとの温泉旅館に泊まっている。
一人、リフトに乗って危険な火口近くまで行き、灰のサンプルを先駆けて持ち帰った功労により、一番風呂の権利を得る。
「これで鮎の塩焼きでも食べられたら最高だにゃあ」
「釣りに行こう! ビールも買おう!」
同じ調査隊のメンバーである友人I(男)と友人M(女)と三人で肩を組みながら、ごきげんな気分で浴場に行く。そしてそのまま三人そろって男湯の脱衣所に入る。
「あれ、M、女湯は隣りだよ?」
「いいじゃん。沸いているのは女湯も男湯も同じ湯だよ」
そういうロジックか、と思いながら灰まみれの服を脱ぐ。三人で湯壺に入って鮎の料理法について話していると、脱衣所でがやがやと声がする。
「まずい、他の調査隊かも」
Iが率先して脱衣所に見に行く。Iは柘榴口でしきりにジェスチャーをはじめるが、私は眼鏡をかけていないためによくわからない。
彼が放ったバスタオルをキャッチして、Mに渡す。
「これを体にきつく巻けば女かどうかなんてわかんないよ」
でもMの顔は紛れもなく女であるし、ほのかな麻のような匂いは隠しようがない。