-第311夜「全裸」、-第312夜「西欧餡かけ」
第311夜「全裸」
 暴風雨にまかれて、近くの中学校に逃げ込む。スーツはもちろん下着までぐずぐずに濡れてしまっていて、風邪を引いてしまうから早く着替えたいのに、校門のあたりからついてきた馴染みの牝犬が、私の足に脇腹や股間を無闇に擦りつけてくる。かなわないと思い、
「もうそんなことするなら会わないよ」
と窘めると、牝犬はいなくなる。ある程度じゃれつかれるのは嫌ではなかったので少しさびしい。
 トイレの個室に入って着ているものをすべて脱ぐ。そして脱いで気がつく。代わりに着る乾いた衣服がない。これを捜さねばならない、と思い、廊下に人気のないのを確認して、全裸のまま、トイレの向いの無人の階段教室に入る。
 真っ暗い教室に羅紗紙は山ほどあるのだが、どれも幅二センチほどの紙テープ状になっている。これでは腰に巻くこともできない。ミイラのようにすればいいのか。でも、二本の足をわけて巻くと股間が犯罪的なことになる。すっかり難儀していると、「誰かいるんですか?」との女性の声。中国系の訛りがある。
「いま入って来られるとちょっとマズいんですけど…」
「でも、いまはテスト中ですよ?」
 教室のなかを振り返ると、いつの間にか電気がついていて、私服の高校生たちが三三五五、机に座って懸命にテスト用紙とにらめっこしている。慌ててその教室から出る。
 生徒たちのテスト用紙に書かれた回答はすべてばらばらだったが、歌のお兄さんのような教官の採点で、それらはすべて正解。


第312夜「西欧餡かけ」
  就職活動を終えて、下北沢の家に帰る途中、お腹が空っぽだったので屋台街に寄ることにする。
 ドイツ人らしいおっさんが、彼が脱いだ上着の上に(ふざけて?)座ってしまった日本人の学生にぶちキレて早口で罵っている。
 木箱を重ねたテーブルの上に、いつの間にか水の入ったコップと西欧餡かけ(ルッコラ添え)の皿が湯気を立てている。ふと見ると、寸胴鍋と炊飯器を乗せたカートを押して、男の子が立ち去ろうてしている。
「ちょっと待って」声をかけると彼は振り向く。「なあ君、私はなんの注文もしていないよ」
「知っています」
 彼はニコニコしていて悪気の影も見えなかったので、不思議に思い、言葉をつなぐ。
「ということは、これは押し売りかい?」
「そうです。余っちゃって」
「そんなの理由にならないよ。私は西洋餡かけなんて食べたくなかったんだからね。でも良い。罰として、君もこれを半分、食べていきなさい」
 彼はやはり素直に私のテーブルに着き、彼の小皿に西欧餡かけをとりわける。
「学生?」私は食べながら聞く。
「はあ」彼も食べながら答える。
「どこの?」
「この井の頭線をまっすぐいって、左側がぼくの一日です」
「東大か。あのおっさんがドイツ語で何言ってるかわかる?」
「ふざけんなこの野郎、訴えてやる」
「まあそんなとこだろうね、知らないけど」
「専門は熱機械なんです。一度、沸騰したお湯は火から下ろすとすぐに泡立ちがおさまりますが、鍋の構造を変えると沸騰しつづけさせることができるんですよ」
 下北沢の夜は更けていく。
by warabannshi | 2009-11-11 09:55 | 夢日記 | Comments(0)
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