05年に結成された四人組バンドである北南の『福が来る』(尻目庵 SMAN0001)は、一軒貸家で二年半かけて作った約53分12曲入りCD。70年代の日本のフォーク/ロックを思い出すが、はっぴいえんどのカビ臭い亜流とは一線を画す現在進行形の響きである。ペイヴメント以降のいわゆるインディ・ロックの日本解釈とも言うべきまったりした佇まいなのだ。素朴な実験性に富む音は米国のマタドールやKレコードのアーティスト、英国スコットランドのパステルズ周辺も思い出す。と同時に、繊細な歌声をはじめとして日本の風土ならではの濃厚な侘び寂びも染み込んでいるのだ。セルフ・ライナーや数人のコメントも載った12ページのブックレット付き。
p.179
ゼミの先輩である増田-羽客-敬祐さんがヴォーカルを務める四人組バンド・北南のレビューが載っていたので転載します。「尻目庵」というヘンテコな名前のレーベルは増田さんが作ったものだそうで(ロゴ・マークも)、「あらゆることを尻目に自らの道を往く」という含意があるそうです。レビューでははっぴいえんどが参照されていますが、私の聴いた感想では80年代初めから中頃のムーン・ライダースに音質の重なり方も近いです。パーカッョンを控え目にした感じ。『福が来る』収録曲の個人的なおすすめは「今日みたいな日」と「芝」。
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