第391夜「ディズニー・ソサエティ」
 ディズニー社が全面協力しているというゲイテッド・コミュニティ、「ディズニー・ソサエティ」を見物に行く。聖蹟桜ヶ丘駅からゆりかもめ線を乗り継いでいくと、青空の向こうに高くそびえたつ小豆色の城壁が見える。彼女Fは一眼レフカメラを膝の上にのせている。城内の方々を撮影する気でいるのだ。あわよくば実在するというミッキーマウスを撮るつもりらしい。
 ソサエティの門番は、やはり奇妙な三色刷りの全身タイツの男で、サスマタを持っている。
 私はなんなく通ることができたが、彼女Fは門番に止められる。
「もう門限の十六時を過ぎておりますので」
「じゃあ、彼はなんで入れたんですか?」
「もう門限の十六時を過ぎておりますので」
 まごまごしていると私まで門前払いを食わされそうだったので、いそいで城下町のなかに駆け込む。
 まだ明るい城下町には、しかし人っ子ひとりいない。シルク屋やティアラ屋などが軒を連ねているが、皆、ひっそりと閉まっている。クリーミーな色合いの家々が、心なしかくすんで見える。だんだんと眠くなる。立ち止まると、瞼が上がらない様な重苦しい憂麓に陥る。呼吸するだけで皮下脂肪が貯まっていきそうである。
 ひときわ大きな建物があり、尋常じゃない量のフリルやリボンがつけた淑女たちが中に入っていくので、とりあえず入り込む。つまみだされたら、それはそれで良い。
「忘れ物?」
 わりとまともな格好の女の子に呼び止められる。スタッフらしい。
「携帯電話を落としちゃったみたいで」と嘘をつく。
「笑々で打ち上げだから、早くおいでよ」
 彼女は私を誰と間違えているのだろう。そう思いながら、高級カラオケ店のような壁紙の広い廊下を奥へと進む。
 五メートルに一つの割合で女子トイレがある。そのうちの三つの一つくらいの比で男子トイレがセットになっている。ディズニー・ソサエティに来た記念に縄張りを主張しておこうと思い、そのうちの一つに入る。
 個室のドアを開けると、壁にハンガーにかけられた濃紺のスーツがある。使用中かな? そう思い、さらに奥にあるドアを少し開けると、魚か海草の腐ったようなものすごい匂いが漏れてくる。慌てて閉めても、肺に入った陰気な空気が“ディズニー・ソサエティの裏側”を警告する。浅ましいことだ、と思い、個室から出ようと思ったとき、私の耳はウサギのように伸び、私の両脚が腰まで飴のように溶けて流れていることに気がつく。
by warabannshi | 2010-07-28 10:47 | 夢日記 | Comments(0)
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