第506夜「中二病者の会」
 京王線新宿駅の一番線のレールの、さらに隅、電車が入ってこない場所には、一台の白いライトバンと、数台の自転車が乗り付けてある。それが「中二病者の会」の会合場所である。朝、私は出社するのをやめて、そちらの会合場所に行く。
 すでに白いバンの運転席には、名前の知らない先客がいて、明太子をパンに塗って食べながら、同志のUST(秘密放送)を聞いている。
「ポスト・フェストゥムをいかに生きるかが、むしろ課題なのです」
 六〇代にほど近いであろう、禿頭のおじさんが、笑っちゃうようなしかつめらしさで、壇上で演説している。カメラはその姿を斜め右下から撮影している。この歳まで中二病を維持しつづけるのは、相当のことだと感心する。膝の上においたノートPCでUSTを見ていた運転手が、それを私に渡す。
「どっか行っちゃいましょうか」
「いいですね、私、横浜に行きたいです」
 私たちを乗せたバンは、停めてある自転車を蹴散らし、地下鉄のレールの上をごとごとと走り出す。
 以下は、このバンのなかに堆積していた「中二病者の会」の、ログの断片。

「江戸川乱歩の『人間椅子』は、わたしたちに良い素材を与えてくれる。快楽の機械的供給は、そう経たないうちに、苦痛に代わる――肉体的苦痛に」
「竜宮城」
「体のなかにある神経系が、蜘蛛の巣のようにはっきりと青白く見えるようだった」
「欲望を痙攣と置き換えなさい。ブルトンが「美とは痙攣的なものだ」La beauté sera convulsiveと言ったように。そして、痙攣が訪れるまで我慢しなさい。訪れたら、その苦痛に耐えなさい」
「痙攣は貯まっていく」
「電波というより電気」
「手の指がのびていく」
「景色を見るようにする」
「ゴッホの糸杉になる」
by warabannshi | 2011-08-08 10:02 | 夢日記 | Comments(0)
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