第554夜「すれちがい系男子」
 女性になっている。そしてベッドのシーツに散乱した猫の毛を取り除いている。名前の知らない同棲相手が、寒がって、湯たんぽ代わりに飼い猫をベッドに招き入れたのである。
「もう、ベッドに猫を入れないでって、何回言ったらわかるの?」
 九〇年代の青春映画みたいだ、こういう台詞は。と、倒置法で考える。
「そんなことより、ぼくが世界をまったく退屈させないように案出した概念、すれちがい系男子について、聞きたい? 聞きたい?」

【すれちがい系男子についての一情景】
 新宿駅のJR西口から、地下鉄・丸ノ内線へ通じる連絡口を走る男。階段には、流しのチェリストがいてチューニングをしている。男は、小さな魚族のように、少しもじっとしていない。日が暮れるまで、この連絡通路を、行ったり来たりしている。相手が誰であろうと本当に私に会いたければ再び訪ねてくるだろう、とは思いもしない彼は、このように、居もしない誰かとすれ違ってばかりである。
by warabannshi | 2012-03-10 06:48 | 夢日記 | Comments(0)
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