第583夜「カエル」
 真っ白い巨大な球がいくつも積み重なっているその隙間に、階段の出口はつながっている。私と、それぞれ名前を知らない兄と妹は、この空間を占拠し、いまいましくも圧迫感を与えてくる白い球を、その下から眺めている。誰も口をきかない。
「まあ、昇っていけばいいんだよね」
 ゴシック調の、黒ずくめの格好をした兄が、ごく自然に、丸々とせりだした球の表面を、傘をステッキ替わりにしてついついと歩いて昇っていく。傘の先端で突かれたところに、ごく自然な凹みが生ずる。
 私と妹の二人も、重力を無視して球面を歩いて昇っていく。
「死体にならずに済んでよかった」
「何の話?」
「死臭はこのカエルを孵化させるからね」
 そう言われて、初めてこの球が、クジラほどに巨大なカエルの卵であることを知る。
by warabannshi | 2012-06-23 07:33 | 夢日記 | Comments(0)
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