小高い丘にある、清潔な、風通しの良い小屋に泊めてくれると仙人のような老人が言う。礼を言って坂を上ると、一抱えもある直方体の茶色い礫岩が道を塞いでいる。あと一息で平坦な丘の上なのに、これでは進めない。
(前にはこんな岩はなかったはずなのに…)
そう思うということは、以前にもこの小屋に泊めてもらったことがあるのだろうか?
私は、排泄物のような色合いの礫岩に手をかける。
(一意専心)
すると、何かの間違いであったかのようにするりと直方体の障害物は左に水平に動き、そのまま、下に落ちる。そして、ちょうど坂の上の平坦な丘の部分と高さが同じになったところに、一組の寝具がある。