第602夜「和毛」
 オフィスで資料をコピーしている。Wordで作業すればいいものを、何の因果か、別の資料から図表を切り抜いてテープのりで余白に貼っている。しかし十分な余白はどこにもなく、図表を縮小するが、そうすると文字がつぶれて用をなさない。
「安全ヘルメットはした?」
 振り向くと、白衣を着た四歳くらいの女の子がいる。いまさっき起きたのか、額に赤い寝跡をつけている。
「カフカじゃあるまいし」
 女の子を安心させるために髪をなで、そのやわらかさに驚愕する。これが和毛というものか! 彼女の顔と手のひらの感覚の前で、私は一枚の薄いコピー用紙のようになる。何かあらぬ誤解が生じそうなので、称賛の言葉を発音しないように気を付けながら、オフィスを仕切る障子を開け、寝ぼけている彼女を仮眠室まで連れて行く。廊下にも、オゾンの匂いがうっすらと漂っている。歩幅のちがいを調整するために、一歩一歩、苗でも植えるようにして歩く。
by warabannshi | 2013-01-16 08:06 | 夢日記 | Comments(0)
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