与太話@新宿・星乃カフェ
「部屋を横切っていく鈴の音だとか、誰もいないのに不意に開く引き戸について、それらをなしている、霊や小人のような、“見えない何か”の存在を仮定したことはないんですか」
「“見えない何か”がいるとしても、それが一つだとはまったく思えないし、一つ一つを識別しようとすれば、気が狂うと思う。雨粒の一つ一つに名前をつけようとしたら、人間は間違いなく発狂するように」

「例えば、波を立てる穏やかな外洋で、水面から高さ数センチの位置に、水面と平行な平面をすぱっと切るとします。そのときの断面には、空気の部分と、水の部分が混在していて、さらにその断面だけを見れば、空気の領域に不意に水の領域が現れ、そして何事もなかったかのように消える、その明滅がいたる所で生じている。その一つ一つの明滅を、いちいち数えられない…こんなイメージですか」
「すごくよくわかる。ただし、その比喩だと、〈空気〉と〈水〉の2種類しか領域がないけれど、じっさいは数えきれない種類の領域が、明滅していると思う。そのとき〈空気〉の領域に特権はないけれど(〈空気〉の領域に異なる何かが侵入しているように思えるけれど)、〈空気〉の領域をゼロ基準のように見なしてしまうのは、そこに私たちが棲まっていると思っているからでは。じつのところ、私たちは〈空気〉のなかに棲むのではなく、その断面の特定の場所を占めている」
「その場所は、placeですか、addressですか」
「両方。どちらが欠けても、可算名詞にならない。とくに重なり合う必然性のない、placeと、addressとを断面上にピン止めしているのが、個体あるいは肉体としての、名前を持つ“私”」
by warabannshi | 2014-03-09 06:10 | メモ | Comments(1)
Commented by 松治朗 at 2014-03-11 23:53 x
太田先生はじめまして、こちらにて質問させていただくのは大変申し訳ありません、突然なんですが本日のBSのふらり旅 いい酒 いい肴にて最終に流れていたBGMが知りたくてコメントさせていただきました。

他所にての質問ですが、お教え頂ければ幸いです。

どうぞ宜しくお願い申し上げます。
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