「塩谷賢、哲学を語る」@哲学塾カント 第1回「哲学は学問か?」 #01
――【k123934-3】「塩谷賢、哲学を語る」@哲学塾カント 第1回「哲学は学問か?」――

●「哲学は学問か」というお題について考える

 哲学は学問かという話ですね。日本語だと当然こうなってるから学問だということはあるし、少なくともドイツのカント先生の時代から、大学に哲学という科目ができてしまったという限りでは、哲学は学問という形であるわけです。ところが、歴史的に見ると、大学というのは別にドイツの大学が(今、日本もそれを踏襲してますけど)初めて作ったわけじゃなくて、皆さんご存じのように、大学と名前を冠したものはもう中世の早いうちに、いわゆるカロリングルネサンスの時期の後からできています。有名なのはイギリスのオクスフォード大学、一番古いのはパドヴァ大学かな、いわゆるローマの辺りからではないのが、スペインにあったサラマンカ大学ですが、そこではみんなが哲学をしているわけではなかったです。例えば、ボローニャ大学で一番有名だったのは、医学なんですよね。哲学の強かった大学というのはどこかというと、パリ大なんです。
 この時期は大学の学生と先生という区別がなくて、要するに、知的なことで世間からはみ出してしまった人たちが、しようがないから寄り集まった。寄り集まった上で、でも、頭がいいからいろいろと使えると。それで、教皇庁とかあたりでお伺いを立てる(強迫したのかもしれないけど)、認可を取って一緒になるような、これはある種の共同体として大学ができたわけです。その中で先に進んでた人と後からくっついていく人というのが居て、一緒に勉強しながらやっていくと。
 日本では、仏教のお寺がそういう機能を平安期は持ってたんです。学生(がくせい)は、学生(がくしょう)ですからね、もとは。坊さんが偉くて教える、特に禅仏教のときにそういうような師父というのでイメージが付いたけれども、本来、そうじゃなくて、 学生らが一生懸命いろいろがちゃがちゃとやりながら、宗教、仏教に対する教理問答とかやってたというのがもともとの古い、奈良朝ぐらいから平安朝の前期のお寺で、日本の大学も多分にそういうのを受け継いでいるのではないでしょうか。
 さて、では「学問」という語をどう受け取ったらいいだろう。非常に困るんですよね。これ、やっぱり独特の言葉で。ドイツ語だとWissenschaftという言い方がある。これは非常に広い概念でWissenschaftという言葉を使えるわけです。「知ることを軸にして何かすること」という意味ですね。一方、サイエンスは、もともとScientiaという概念があって、分けて何かするっていう話だった。今、サイエンスっていうと自然科学が思い出されると思うけど、英語では社会科学(natural science)と自然科学(social science)の2つがあります。問題は人文科学という言葉が日本にあるけど、向こうにはhuman scienceはないですね。普通はhumanityという言い方しかしない。これは人文の意味です。ところが、humanityというのは非常に広い範囲の学問ですよ。アリストテレスから由来するところもあるし。

…続く…

【告知】
中島義道さんの哲学塾カントで「塩谷賢の哲学道場」が始まりました!
2回目は以下のとおり。
日時: 3月28日(土) 19:30~21:15
参加方法: 要事前申し込み。HP(http://gido.ph/ )のアドレスからどうぞ。先着20名程度。
by warabannshi | 2015-03-17 10:10 | 塩谷賢発言集 | Comments(0)
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