第8夜 「医療用ロボットとは白鳥なのか、兎なのか?」
 駅の芝生で、医療用ロボットが六体、踊っている。
 早稲田大学の近くの駅であることはわかるけれど、高田馬場ではない。
 もっと、田舎の駅だ。
 医療用ロボットは、なぜか鳥の形をしている。
 この六体が、どんな医療に用いられるのかは知らない。想像もつかない。



「あ、自販機の中身、入れ替わったんだ、これ」
 高校時代の友人・Hが駅のホームに備え付けられている自販機で、“アミノポリなんとか酸”が増量されている缶入り飲料を買っている。缶ががらがら落ちてくる。
 Hは東大に入ったはずだ。なぜ早稲田にいるのか、わからない。
 でも、とにかくいまは、Hが早稲田にいるのは間違いない。
 なんといっても、ここは早稲田の近くの駅なのだから。
 うちもつき合い上、自販機で缶入り飲料を買うことにする。
 “アミノポリなんとか酸”が増量されているやつではなくて、最上段にあるアセロラドリンクのボタンを押す。
 でも、がらがら出てきたのはポカリスエットで、おまけに下の角のところが潰れていた。
「トマトジュースにすればよかったのに」
 Hが不満そうな顔をしている。
 “アミノポリなんとか酸”が増量されているやつは、トマトジュースだったらしい。
「いや、昼ご飯がピザだったから。……ここでトマトジュースを飲むと、あんまりイタリアンすぎるでしょ? トマトジュースは酔い覚めが一番だよ」
 と、うちは言い訳なのかよくわからないことを口走る。

 ところで、そうしている間にも、芝生では医療用ロボットのショーは続いている。
 アイガモのような形をしたそのメカは、翼の部分を横に広げると、折り畳まれて格納されていた太陽電池のパネルが、自動的に上に広がる仕組みになっている。
 太陽電池のパネルは、どう見ても、アルミ箔にしか見えない。
 医療用ロボットに、なんでこんなカラクリが必要なのか、理解に苦しむ。
 医療用ロボットは、よく見ると、親二羽と、ヒナ四羽で構成されていることがわかる。
 それぞれの親の動作を、それぞれのヒナがトレースしている。
 親が翼から太陽電池のパネルを出すと、二羽のヒナも小さなパネルを展開する。
 なんとも微笑ましい光景だ。
 ほんと、可愛さに、生物もロボットも関係ないよ。
 けれど突然、一羽の親鳥が、ヒナを二羽、丸飲みにしてしまった。
 白鳥は、ストレスが溜まると、自分のヒナを丸飲みにしてしまう習性がある。
 いや、子供を飲んでしまうのは、ウサギだったかもしれない。わからない。
 とにかく、うちはホームから飛び降りて、白鳥の親を捕まえる。
 もちろん子供を助けるためだ。
 がーがー騒ぐ白鳥の体を股の間にはさんで、長い首を、胃のあたりからぎゅっと搾る。
 すると、ぼろっと毛玉の塊が白鳥の口から飛び出した。
 ウサギの子供だ。
 白鳥は、ヒナを飲む前に、ウサギを飲んでいたのだろうか。
 もう一回、逃げようと懸命にもがいている白鳥の首を搾る。
 出てきたのは、やっぱりウサギの子供だ。
 あとから出てきた方は、眼球が白くなっている。白鳥の胃酸で目をやられたのだ。
 失明したウサギの子供は、鼻をくんくん鳴らしている。
 うちは、くんくん鳴いているウサギの子供と、鼻をすりあわせる。
 ほんと、可愛さに、生物もロボットも関係ないよ。
by warabannshi | 2006-03-29 04:28 | 夢日記 | Comments(0)
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