第14夜 「本島へ」
 乗っていた船が座礁してしまった。
 船底にいる、どうやら密航しているらしいうちと従弟は「どうしよう」と廊下をうろついている。




 船底には船員がおらず、浸水の気配はない。
 従弟がせかすので、仕方なしに甲板に出ることにする。
 出てみると、遠浅の砂浜で、砂地がきれぎれに地平線のほうまでつづいている。
 モン・サン・ミシェルみたいだ。あるいは九十九里浜。と思う。
 飛び飛びの砂地には、やっぱり人の気配はない。
 いかにもな木製の看板が近くの砂地に立っている。
 看板には、「最左端 愛する人へ」と書かれている。
 ここは、島に、恋人と会うために来た人が、結婚の手続きをするための場所だ。
 なら、どこかに結婚の手続きをする場所があるにちがいない。

「満ち潮でこれなんですか?」
と、結婚手続きをする役目らしい、小説家のHさんに聞くと、
「ちょっと引き潮になると、砂地の帯が丸く浮かび上がってくるよ」
と言われる。
 本島のレストランに行きたがっている従弟を、Hさんは
「朝食は、酸っぱいご飯しかでないよ」
とがっかりさせる。
 どうやら、本島も食糧事情がよくないらしい。
 ふと、ここは北朝鮮じゃないか? と思う。
 けれど、その思いつきにはまったく根拠がない。
 うちはHさんの小屋に行くことにしたけれど、従弟は本島まで歩いていくという。
 Hさんの小屋には、『時をかける少女(アニメ版)』の絵コンテや、危険物取り扱い免許のテキストが置いてある。他にもなにか本があるけど、日本語じゃないから読めない。
「じつは、一級持ってるんだ」
 Hさんは自慢する。なんの一級かはわからない。危険物取り扱いかもしれない。
「小説家になるにあたって、不安はなかったんですか」
と、うちはありきたりな質問をする。
「地下三階から、本島のレストランに行く近道が伸びているから、使って良いよ」
 Hさんは、そう言い残してどこかに行ってしまう。
 うちのありきたりな質問には応えてくれない。

 地下三階に下りると、天井が蜘蛛の巣だらけの廊下がまっすぐ一本つづいている。
 これはたしかに砂浜を歩くよりも楽だと思い、歩きはじめる。
 廊下の横には教室があって、
(なんだ、ここは小学校じゃないか)
 と思う。窓からはまぶしいほど陽光が射している。
by warabannshi | 2007-07-06 08:35 | 夢日記 | Comments(0)
<< 第15夜「メロン、レモン、デーモン」 ●欲望という社会労働を適切に行うこと >>



夢日記、読書メモ、レジュメなどの保管場所。
by warabannshi
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
twitter
カテゴリ
全体
翻訳(英→日)
論文・レジュメ
塩谷賢発言集
夢日記
メモ
その他
検索
以前の記事
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 11月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 03月
2007年 01月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2004年 11月
2004年 08月
2001年 12月
記事ランキング