ジャックが上野駅で置き引きしたトランク(スーツケース?)の中身は原爆だった。
無精髭の痩せた、貧相な、パンクっぽい白人男性であるジャックは、
「テロリストに売ったらすごいことになるかも!」
とか、ハリウッド映画にお約束なことを思う。
もちろん、映画ならジャックは原爆を売って、すぐに殺される。
でも、今日は昇段試験の日なので、売る前に大講堂で試験を受けなくてはならない。
ジッャクが試験を受けていると、原爆入りのトランクをさらに置き引きされる。
裸の上に白衣をはおったスキンヘッドの男がやってきて、原爆トランクをのありかをきく。
「たったいま置き引きされた」
ジャックがこたえると、白衣のスキンヘッド男はジャックに両手を挙げるように指示。
いわれたままに、お手上げするジャック。
そのジャックの腹に、ふざけたように軽めのジャブを数発いれる、白衣。
「よし、これで私はいつでもここにいる」
ジャックがシャツをめくると、そこには時限爆弾。腹筋に埋め込まれている。
「試験が終わったら、トランクを探してこい」
そうじゃないと、爆発する仕組みなのだろう。
昇段試験は四則問題。
公文式とか、大人の計算ドリル、みたいなレベルの易しい問題ばかり。
いったいこんなのでなにを知ろうとしているのか?
うちは、その問題を早々と解き終わって、”上”に行くための書類にサインしている。
四人まで"上"に行けるので、他の三人の名前とグループ名を考えていると、隣で白衣の男は「サンピエトロ・セクスティル・……」とむずかしいグループ名を書いている。
白衣の男は、なんかのオカルト集団の一員なのか?
よく見ると、スキンヘッドなのではなくて、眉毛もまつ毛もない。体毛がない。
彼を刺激しないように、うちは稲穂血判同盟と書いて、血判を押す。
試験がおわったので、カメラで試験会場を撮る。
養護学校の生徒たちがいて、窓際に並んでもらうけれど、なかなか露出があわない。
ジャックがどうなったかは知らない。