第43夜 「(おそらくは)文化祭」
 11/7[土]。
 おそらくは文化祭なのだろう。ものすごい量の屋台で、横浜にある大学が溢れている。
 溢れている、というか、タイとか台湾の夜市に出店していそうな屋台が無数にあって、大学が校舎が見えないくらい立体的に、縦方向にも覆われている。すくなくとも、ここからでは大学の校舎は一片も見えない。木製の九龍城跡を彷彿とさせる。もしくは、『スワロゥ・テイル』の円都のスラム街。
 大学の正面は、正門ではなくて、ケバブ屋になっている。(ひときわ看板がでかい。浴衣姿の綾波レイの等身大パネルがくっついている。まんだらけじゃないか、と思う。)
 ケバブ・サンドを買おうか迷うけれど、みんなタピオカ・ティーしかそこで買っていない。たぶん、人ごみのなかでケバブのソースがくっついたら喧嘩になるからだ。そうだよね。
 とにかく友人Iが所属している劇団の公演を見に、ケバブ屋のわきをすりぬけ、屋台のごしゃごしゃに分け入っていく。

 途中、ひしめく屋台のせいでほとんど室内なんじゃないかと思うくらい薄暗くなった路地*の地面がガラス張りになっていて、下の水路ではよくわからない魚が泳いでいる。
「魚じゃなくて、流しそうめんですよ」
 パフェか綿飴か、とにかく甘味を売っている黒人が教えてくれる。薄暗い路地を照らしている正面はピンク色でなんとなくエロっぽい。

 芝居小屋はかなり盛況で、アスファルト敷きの傾斜面は、当日券を買うため人が並んでいる。遊園地みたいだ。劇団は、フリーマーケットもやっているようで、芝居小屋の周りの壁にはたくさんのTシャツやジーパンが(夏服ばかり)ひっかけられている。全部百円。
 Iが受付をやっていて、チケットを切る。
 Iはシンロチュウを飲んですでに酔っていて、因縁をふっかけてくる。
「おおたくんはそんなんじゃいい大人になれない」
 Iの構想しているいい大人は燻し銀なおじさんのことなので、うちには到底無理だ。
 舞台の袖のバルコニーで、劇団の人と仲良くなる。
「おれ、もともと海産大学にいたんだけど、経済学をやって、いまこの大学の哲学科に六年いるんだよ」
「高等遊民ですねー」
 セメント製の"米国大統領の顔が四つならんでいる崖"の大道具の、顔の一つが腐食していて、劇団の人と話ながら、あれはセメントに酒が混ざったせいだと思う。それがIの飲んでいたシンロチュウであるかどうかはわからない。 
 その後、舞台を見た記憶はない。

 フーコーとブリュドューが、新築する前の、四年前に存在していた自宅の庭先で、立ちながらA4版ノートにしきりに何か書き込んでいる。ときどき、なにか呟く。
 問題。
「ハイデガーは慎重にすすめたが、P・ブリュドューが当然の事実と見なして議論を構築した因子とはなに?」
「ナトゥールだよ」
 隣にいるUが答える。うちは個別の情動じゃないかと思う。
 問題、2。
「ニーチェとフーコーが好きだった動物は?」
 猫だ! でも、ニーチェが猫好きだったとは知らなかった。**
 うちは手元の機械でフーコーとブリュドューがしゃべっている言葉を速記しているけれど、速記機は家の台所にあるキッチンタイマーで、数字しか打てない。おまけに目やにで眼がほとんど開かず、自分がどのボタンを打っているかもわからない。読み解くのは至難だろう。というか、絶対に無理だ。速記機はパンチ式になっていて、数字が打ちこまれた細長い紙がどんどんと画面を流れていく。紙には、なぜかすでに薄青の付箋がいくつかついている。
 玄関には、「11/7[土]、8[日]は文化祭!」と書かれた黄色いビラが大量に貼りつけてあるので、この対談なのかクイズなのかわからないのも文化祭の一貫なのだということがわかる。



* 路地はゲーム「ウィザードリィ」の迷宮の壁面がみんな屋台になったイメージ。特にⅤ・災渦の中心の回転床のあるフロア(たしかマンフレッティの屋敷)に似ている。新宿ゴールデン街の室内版か、ものすごくすさんだサンリオ・ピューロランドと言えないこともない。

** ネットで調べたが、フーコーが猫好きという事実はなかった。もちろん、ニーチェも猫好きではないようだ。たぶん、「現代思想の冒険者たち」の似顔絵のフーコーが猫を抱いていたから、猫好きだと思い込んだんだろう。
 ちなみに、P・ブリュデューはフーコーとなんの関係もないだろう。…と思っていたら、山本哲士が『ディスクールの政治学 フーコー・ブリュデュー・イリイチ』(1987)を書いていて驚いた。あとで図書館で読んでみよう。
by warabannshi | 2008-01-08 19:27 | 夢日記 | Comments(0)
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