高層ビルの最上階にあるゴージャスな会議室。
国籍と人種がばらばらな二十人くらいで麻薬とか銃の密売とか、よからぬことを会議している。うちはそのなかの一人。白いスーツを着ている。
会議室はガラス張りで、日光はさんさんと射しこみ、カリフォルニア風。空調も効いている。
よからぬ会議なんかどうでもよくなって、ひげ剃りあとをなぜる。
指先に血がついている。
ロボコップが来る! と直感する。
反射的に、分厚いテーブルの下にもぐりこむ。
コンマ五秒くらい後で銃の乱射音。数名の断末魔、というか「うあああ」という映画っぽいやられ声が、テーブルの上でする。かん高い跳弾の音。
やっぱりロボコップだ。皆殺しはまぬがれない。
こういうときに、テーブルの下に隠れた悪役はどういう殺され方をするのか? テーブルごと撃ち抜かれるのか? 足首から引きずり出されて高層ビルの窓から落とされるのか? 火炎放射器で燻し出されるのか? 音がしなくなって、もう大丈夫、と安心して這い出たら、手榴弾かなにかのピンをはずみで引っこ抜いてしまい、自爆するのだろうか?
半円状に分厚い木製テーブルの下で考える。
「ロボコップ」シリーズは小学校低学年のときにヘビーローテーションで見ていたアメリカ映画のひとつで、再生数は三部作を合わせると百回は下らないはず。(ちなみに、双璧をなすのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ。)
「ロボコップ」の最初の作品は1987年に公開されたのですが、これがとてもグロい。冒頭、主人公のアレックス・マーフィー巡査がマフィアたちに捕まってリンチを受けるシーンがあるのですが、ショットガンで右上腕部が吹き飛ばされたり、それでもなお立ちあがって逃げようとするマーフィーの、その傷口から血が冗談みたいに噴いたり。そのあとで背中から蜂の巣にされても、なかなか意識を失わないで、数秒間にわたって絶叫したり。さらに、そのままおが屑のなかに放置されたり。
さらに、極めつけはマフィアの一人が猛毒の化学廃液を頭からかぶって、よろめき歩きながらドロドロに融解する場面。いまだに正視できる自信がありません。