第59夜 「お茶の水駅前/胞子」
(*1)
 1996年、夏。JRお茶の水駅前付近で、鎧兜に身をつつんだ武将姿で待機している。
 夏の盛りに甲冑なので、暑くて蒸れたりして仕方ないはずだが、耐えられる。
 集中力のおかげだと思う。
 出陣の法螺貝が鳴らない。
 通行人のおばさんがもの珍しそうに甲冑の垂れを触りに来たりする。
 威嚇したい。早く出陣したい。
「スウェーデンボルグにとって時間はあくまでもアクセス可能なものでしたが、彼らにとって時間は単線的な差異です」
 テレビリポーターが遠回しにうちらのことをけなす。
「自転車競技は人力の最速を目指します。それぞれがそれぞれの臨界を踏破することで人道の可能性を開きます」
 高校生のうちが、テレビカメラの前で自転車競技部の宣伝をしている。
「それでは、人間が時速百キロを越える瞬間を定点ローラーの画像でお楽しみください」
 高校時代の友人Pが定点ローラーに乗っている。
 カメラが少しずつズームアップしてきて、それに合わせてPがもがく。
【時速百キロでなかった場合…「残りの××キロはキミの入部にかかっています」】
【時速百キロでた場合…「???」】

(*2)
 文化祭。高校の生物部展示の手伝いをしている。
 でも、うちの通っていた城北高校ではなくて、都立国立高校の生物室だ。
 あまり見に来る人もいないので、後輩たちの研究を覗き見する。
《絶滅危惧種の××ハトがなぜ激減したかといえば、渡来地が国立公園になったために田んぼがなくなったからで、田んぼに住んでいるトノサマガエル、アマガエル、カンガエル、アオガエルなどの餌がなくなったからである。》
 カンガエルは実在したのか、ということに驚く。
 もしかしたら、考える=カンガエルではなくて、勘蛙=カンガエルなのかもしれない。
 そういえば、九州地方南部に半陸上生活を営む魚・ヨダレカケが棲息している、と「ダーウィンが来た!」でやっていた、と思い出す。
 でも、それはカンガエルとなんの関係もない。

 グンタイアリの展示をしているコーナー。
 衣装ケースのなかに餌の甲虫をわんさか入れて、グンタイアリも一群入れる。
 グンタイアリを見たい人は、割り箸をつっこんで、発達した大顎で割り箸の先に食いついてきたグンタイアリを観察するという仕組み。
 衣装ケースのなかは、後輩が甲虫の死骸を掃除していないので、黒いキチン質の外骨格やら羽やらがうぞうぞ蠢いている。
 大学生らしいカップルが、ものすごく気味悪そうに割り箸を入れている。
「すいません、これキノコ、生えてるんですけど…」
 カップルの男性が言うので見てみると、ナメコのような茸が片隅の死骸から生えている。
「太田君、このビンに入れちゃってください」
 K先輩がなぜか敬語でうちに採集瓶を渡す。
「ビンは一つでいいんですか? キノコが何種類かあっても混ざっちゃいますよ」
「この際、仕方がないでしょう」
 ナメコっぽい茸、白い膜状の茸、粘菌みたいな茸、全部採集瓶に入れる。

 新宿駅の、「動く歩道」のある中央通り地下に彼女といる。
 中華料理店で買ったお弁当を昼食に食べたいのだが、落ち着けるような机と椅子がない。
 手には、さっきの茸を集めた採集瓶。
 これを道路に叩きつけて、胞子を撒き散らし、中央通り地下を茸だらけにして、その中でも大きな茸に腰かけて食べる。……というアイディアを思いつく。
 でも、成長した茸は一瞬にして風化して、中央通り地下ごと跡形もなく消えてしまうだろう。



 お茶の水駅前のスクランブル交差点はやたらとなじみ深い、というか記憶されている風景が多い場所の一つ。27日夜も、彼女と通過したばかり。江戸東京博物館に行った帰り道だったから(両国から四ッ谷まで歩いたのだ)時代劇調なのだろうか。けれど、見たのは北斎展だった。

 高校のときに自転車競技部の勧誘で、やっぱり「自転車競技は人力で最速のスポーツです」みたいなことを言っていた記憶がある。掛け声は「シャッース!」。(音韻的に「シャーッス!」ではない)

 中華料理屋で買った弁当は、三年前に、ローマのコロシアム付近の公園で従弟と食べたものだった。修学旅行っぽいイタリア人小学生と一緒になって食べた。イタリア語でなにやら話しかけられた。もちろん、微笑だけで応じた。
(2008.1.29)

 それにしても、フーディニの夢に引き続き、茸・カビ系の夢をよく見る。
(2008.1.30)
by warabannshi | 2008-01-28 07:18 | 夢日記 | Comments(0)
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