第149夜 「あの公園のあの丘のあの樹」
 緑化公園のベンチとテーブル(丸太を模したようなやつ)で、人工進化の可能性について、研究員五人くらいと議論している。
 研究員の一人は所ジョージで、彼がリーダー。(じつは、「所さんの目がテン」の収録準備)
「進化のキーとなるのはオスであると考える方がわかりやすい」と所さん。
「でも、ミトコンドリアはメスを通じて遺伝していくんですよ?」
「じゃあ、オスとメス、両方の可能性を、ちょっと図で描いてみて」

【図1 (オス)】
・魔物
・唇と額の突部分が、組み合わさる、二片のブローチ
(上下が入れ違っている、二つの顔がある。一方の口は、もう一方の額の突起に、ぴったりとはまるようになっている)
・琥珀。その静電気によって進化。
(唇と、額の突起、この二つが刺激されることによって進化がなされる)
・スープとフォークをまとめて収納するように、遺伝情報が折りたたんである。
(つまり、唇と、額の突起に治められている遺伝情報のこと)

【図2 (メス)】
・眼球が一つしかない
・ポリゴン
・カンブリア紀にこういう生物がいても不思議ではない。
・武蔵美でやってたロシア・アバンギャルド展で、こういう形の、球状の光景を一点で見られるオブジェがあった気がする。
・円錐形の下部分に目玉があり、円錐の表面部分を保護シールドで被っている。
・円錐の底部が水面と接するようにして水面を移動し、水中の生物を補食する。
「どうやって捕食するの?」
「レーザーでスープにしちゃうとか……」
「スープにしたら水のなかに拡散しちゃうじゃん」

 後ろの方の芝生で、少年たちが草サッカーに興じている。
 女性研究員のほうにボールが飛んできそうだったので、自分と席を替わる。
 すると、予想的中。
 誰かの蹴ったボールが思い切りうちの左側頭部に当たる。
 漫画みたいに鼻血を垂らしながら、ふり返ると、ものすごいおどおどした少年が一人いる。どう考えても、うちにサッカーボールをぶつけたのはそいつだ。
 被弾したフリーザ@ドラゴンボール、あるいはミシェル・フーコー@現代思想のようにニヤリと笑って、全速力で、逃げ出した少年を追いかける。
 すぐに掴まえて、
「じたばたするな。治療費さえ払えばすぐ帰す」と脅す。
 こくこくと肯く少年。素直である。

 近くの医院に行こうとすると、少年が近道を知っていると言う。ついていくことにする。
 緑化公園の、住宅街と接している部分。
 二段になっていて、上段は住宅が並んでおり、下段は緑化公園の道がつづいている。下の道を歩く。
 この近道は、自分もかつて、通ったような気がする。
「******♪」
 少年が伝統的な部族の歌を口ずさみ始める。
「君、スピリチュアル、詳しいんだ?」
 うちが聞くと、少年は目を輝かせて。
「スピリチュアリティは、ソサエティの語源なんですよ」
 どこかで仕入れてきたらしい、間違った知識を披露する。
「ソサエティの語源はスピリチュアリティではなく、スピリチュアリテだよ」
 うちが間違った指摘をすると、少年はそうそう、そんな感じ、と意に介さない。

 上段の住宅街を、さらに登るような急斜面の丘がある。
「この丘を越えたら、すぐだよ」
 むきだしの地面に露出している樹の根を踏みしめながら、二人で丘をよじ登る。 
 途中で道は二つになっていて、一件の住宅に、より近いほうのルートをよじ上っていると、住宅のなかから、
「できれば、そっち側を通っていってくれないかなあ」という声がする。私有地らしい。
 小さな花壇を、ぴょいと、越えて、もう一つのルートに飛び移る。
 この丘には、たしかに登ったことがある。
 いつ登ったのだろうか。いつ登ったのだろうか。
 ……と考えていると、頂上にたどり着く。
 頂上は、丘全体に根を下ろしている樹のウロの部分で、眼下、360°のパノラマが楽しめる。
「ビバーチェ!」と思わず叫ぶ。
 犬(ゴールデンレトリバー)の散歩をしている夫妻が、樹の、中空に張り出した枝に腰かけて、記念写真を撮っている。
 危なそうに見えるが、この枝はきわめて丈夫なのだ。
 そういうのを知っている、ということは、やはり自分は一度、この公園のこの丘のこの樹に接したことがあるのだ。
「*******」
 二人のスペイン人が、お前も中空の枝に腰かけてみろ、と勧める。
 腰かけると、その枝が、無数の糸状の繊維がよじれて形成されている枝であることがわかる。ちょうど、椰子の実をほぐして、また縒りなおしたような感じ。
 いつの間にか、うちの携帯を持っている二人の女性が、ぱしゃぱしゃと中空の枝に腰かけて感慨にふけっているうちの写真を撮る。
「丘の下の売店で、すぐに現像できますよ。450円で現像し放題です」
 お得ではある。
 けれど、それはうちの携帯だ。
by warabannshi | 2008-06-01 23:14 | 夢日記
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