第159夜 『光あるうちに光の中を歩め』
 トルストイの『光あるうちに光の中を歩め』を読んでいる。
 けれど、文体や内容は、どう考えても木村敏。
 トルストイが、テレンバッハのメランコリー論を知っているわけがない。
 なかなか面白いので、先の丸まった鉛筆で線を引いたり、付箋を貼ったりしていたが、何が面白かったのかはすべて忘れた。

(詳細)
 線を引くよりも、段落を囲う、という方がより正しい。夢のなかで読む本には、印象的な一節というものがなく、印象に残るのは、ある段落のほとんどすべてであるように思える。文節単位ではなく、ブロック単位で読んでいる、といえばいいのか。それに、章立て、というものも、なかったように思える。

 また、夢のなかで読む本は、いったい誰が書いたものなのか?
 まるで木村敏が書いたように(書くであろうように)、うちが書いているのではないか。ただ単に、起きているときに木村敏の著作を読んだ記憶をリピートしているだけなら、該当箇所を思い出せるはずだからだ。(もちろん、キリスト教的生活とはどういうものか、という問答を書く『光あるうちに光の中を歩め』のなかにも似たような箇所はない)
 おまけに、それが木村敏の書いたものとしてではなく、トルストイの短編作品として読まれているのはどういうことだろう?
 文字だけの夢、というものも以前に見たことがあるけれど、あの文字群(文字情報群)には著者や署名はクレジットされていなかった。
 「トルストイの『光あるうちに光の中を歩め』」というパッケージされた状態で、文字群が夢みられるということは、“無署名の文字情報だけがある”という状態の不安定さに耐えられない(耐えられなくなった?)からではないか。

 結局、自分はどれくらいの時間、本を読んでいたのだろうか? 本を読んでいた“ことになる”時間ではなくて、まさに本を読んでいる時間は、いったいどれほどの長さだったのだろうか? それは、読書に集中し、次の一行から次の一行へと移りつづけ、いつの間にか夕方になっていたりするときに、じっさいにどれくらいの時間が自分のなかを流れていたのか?(木村敏なら、それは計量不可能な「ノエシス的時間」だとでも言うだろうが)、という問いと同じ構造なのか。
by warabannshi | 2008-06-16 07:06 | 夢日記 | Comments(0)
<< (無題) (無題) >>



夢日記、読書メモ、レジュメなどの保管場所。
by warabannshi
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
twitter
カテゴリ
全体
翻訳(英→日)
論文・レジュメ
塩谷賢発言集
夢日記
メモ
その他
検索
以前の記事
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 11月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 03月
2007年 01月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2004年 11月
2004年 08月
2001年 12月
記事ランキング