小学生になって、集団登校をしている。
おそらくは永福町の踏み切りの前。
同級生の十数人でわらわらとしていると、風紀委員の上級生(女子)が電車が来る旨を伝える。
わらわらするのをやめる小学生たち。
というのも、この踏み切りでは轢断自殺者が絶えず、ついこの前も、名前のわからない同級生のひとりがこの踏み切りに飛び込んだのだ。だから、自殺した彼のために、全員で黙祷をする。
かるく俯いたまま、目を閉じて黙祷している。
電車が接近してくるのが、低い音圧と気流の流れでわかる。
ふと薄目をあけると、あの風紀委員の上級生(女子)が、踏み切りのバーを乗り越えようとしている。電車はすでに踏み切りのなかに入ってきており、上級生(女子)は電車の側面に巻き込まれるようにして磨り潰される。
磨り潰される瞬間を見たくなかったので、慌てて黙祷の続きをする。
目を閉じたまま、(この不条理さはまるで少女切腹のようだ)と思う。
あとで、上級生(女子)は、下級生の自殺を止められなかった慙愧の念に耐えかねて自殺したのだと知る。