第172夜 「綿矢ミサ=りさのムック二冊、あるいは、哲学とは」
 夕方のごちゃごちゃした住宅街にある図書館で、小説家・綿矢ミサの担当しているムックを二冊、読んでいる。
{この薄暗い住宅街のどこかにある桑畑で、以前は桑の実を拾っていたことがある。(*)}
 小説家の名前は、綿矢りさ、だと思いきや、綿矢ミサ。
 どういうわけか、綿矢ミサを綿矢りさだと思い込んでいる。
 というか、ほんとうは綿矢りさであることはわかっているんだけれど、綿矢ミサのほうがあり得べき名前であるような気がしているので、「ペンネーム、変えたんだ…」と一人合点している。

 綿矢ミサ=りさにしては、随分、硬質な文体で読み応えがありそうなので、即、それら二冊のムックを借りることにする。
 ひとつは、『v.s. すばる』。
 古井由吉か、古在ヨシヒデか、古川日出男か、……とにかく「古○○○」と綿矢ミサ=りさとの対談が中心。
 もうひとつは、『良きサマリア人のためのレッスン』。
 これはどういう内容だったか思い出せない。

 図書館は一階と二階にわかれている。
 一階は、利用者が返したばかりで他の利用者がすぐ借りられる本が並んでいるコーナーと、児童室、新書コーナーで形成されている。
 図書館の入り口は、長方形の長いほうの辺の真ん中にあって、貸し出しカウンターはその入り口のちょうど右側。二階へつづく螺旋階段は、入り口の左側にある。入り口の真っ正面にはアーチ状の本棚がある。それが新書コーナー。そのアーチの奥には児童コーナーがあり、ここで児童達は、熱心に新書を吟味する大人達を見ることができるという趣向になっている。もっとも、ほんとうに年少の児童は、入り口を入って右側の壁にある乗り物絵本などが並んでいるコーナーに行くことになる。ただし、その絵本コーナーは夕方六時をまわっているので扉が閉め切られている。

(なんで図書館に来たのだろうか?
 ほんとうは図書館にくるはずではなかったのだ。
 そうだ、道を一本間違えたのだ……。)

 新書コーナーには哲学の本がある。
 シュレーディンガー方程式の数式が書いてあって、その下に選択肢。
a) 演算子H を「ハミルトニアン」と名づける。
b) この数式を使って、粒子のエネルギーを手掛りにして、ハミルトニアンを推定する。
c) シュレーディンガー音頭を踊る。
d) a,b,cという枠組みをはずす。
 a,b,c,dのどれが哲学という営為でしょうか? 答えはd、みたいなことが書いてある。

 
(*)第38夜「祖母そっくりの魔女と、犬の女の子」では、たしかこの住宅街のどこかで、人間の“素”である桑実胚を拾っていたのだ。(いや、桑畑ではなくて、じつは葡萄畑だったかもしれない。どこかで焼き肉の匂いがする、実りの豊かな葡萄畑。まるでギリシャのディオニュソス祭。)薄暗くて坂道のおおい、この日本の住宅街は、個体発生の象徴的場所なのだろうか。ただし、自分の出生にとっての象徴的場所ではないということは、うち自身が桑実胚を拾っている、ということで明らかである。
(08年7月22日21:39収録)
by warabannshi | 2008-07-22 23:56 | 夢日記 | Comments(0)
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