youtubeの動画。
ある革命派の大学教授のアジテーションが十分くらいでおさまっている。 四角い大講義室(二〇〇人くらいは収容できそうだ)の真ん中に、教授が演説をぶっている。 その教授は映画監督をやっていたこともあるので、自分の演説をこうやって記録しているのだ。 そういえば、この教授は「彼女について私が知っている二、三の事柄」(1966)を撮ったころのゴダールに似ている気がする。 ゴダール教授は、こっそり自分の設置している定点カメラで、自分の演説を撮っているのだ。しかし、学生たちは、それに気がついていない。あるいは、気がついていないふりをしているだけなのかもしれない。 「明朝六時をもって、一斉に蜂起をおこなう!」 五月革命のようだ。六十八年の。 教授のアジテーションに呆れて、ぞくぞくと教室をあとにする学生たち。 「帰るんじゃない! 残れ! 踏みとどまれ!」 絶叫するゴダール教授。 どこからどこまでが本気で、どこからどこまでがネタなのかわからない。 けれど、どんどん空席は増えていき、ついに二割くらいの学生しか残らない。あとは全員、帰宅してしまった。 二割の残った学生は、四角い大教室の、ちりぢりの席に座って教授を眺めている。 ふいに一人の学生(日本人)が手をあげる。 「先生、水筒の氷が全部溶けてしまったので、もうひとつの水筒から氷を移してもよいでしょうか?」 ぽっぽっぽ、とあちこちでおこる笑い声。 べつに彼らは蜂起やデモ活動をしようと思って残っているわけではない。 ゴダール教授が次になにをやらかすかが見たくて、面白そうだからここに残っているのだ。 博覧強記で知られている教授は、日本人学生のおちょくりに鷹揚にうなづく。 「○○くんの養護学校のなかで話をしよう」 これはイディオムだ。つまり、相手のレベルに合わせて話をしようという意味だ。 「この地球に動物を起源とした水は一滴たりとも存在しない。 少なくとも、この地球上には、存在しない。 水はすべて宇宙からやってきたのだ。オールトの雲からやってきたのだ。」 ここで動画は終わっている。 ゴダール教授がそのあとで何をやったかはわからない。 次の日、『言語の構造』というソシュール批判の論文集をゼミのTさんに貸しにいく。 図書館で借りた本なのだが、うっかりと書き込みをしていたことがバレる。 「あー、かっこ悪い。あー、格好悪い」とうちを責めるTさん。 「もちろん新刊を買って図書館に返しますよ。公共物に落書きして恬然としていられるほど鉄面皮じゃないですよ」 弁解するうち。 ところで、ゴダール教授は、どうして蜂起をしようとしていたのだろう。 (08年7月30日08:11収録)
by warabannshi
| 2008-07-30 23:59
| 夢日記
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