勉強会に行く途中の、名もない国道を歩いている。
勉強会のテーマは、「サガからラガへ」。
「サガ」は、性(さが)でもあり、サーガ(物語)でもある。
「ラガ」は、裸(ら)の我(が)。
名もない国道は、ゆるやかな谷の底をつづいていて、左右は造成地。
車は一台も通らないし、歩いている人も自分以外にはいない。
無人の造成地には、なぜか唐突にポケモングッズを入れたUFOキャッチャーがあって、ポケモンの赤いペンケースが、UFOのアームに引っかかっている。
これは取れるな。取れないはずがない。
一ゲーム百円だし、取れたら誰かにあげよう。
そう思って、コインを投入。
首尾良く、ペンケースを取り出し口に落とす。
だが、取り出し口から出てきたのは、ふかふかしたモンスターボールのぬいぐるみ。
ペンケースだったはずなのに。
おまけにモンスターボールは海賊版のばったもんである。
その偽物のモンスターボールをもって、勉強会に行く。
図書館、というか、区民センターのようなところで勉強会は行われている。
自動ドアを入ってすぐのところに長テーブルがあって、そこに資料がおいてある。
それらの資料は、勉強会が終わったら返さなければならないという。
最近は資源不足や食糧不足で、紙もインクも払底しているらしい。
区民センターの外では、マクドナルドにすごい行列ができている。
これはマクドナルドのほかには飲食店がないからだ。
そのマクドナルドでは、黄桜のカッパみたいに胸の大きい女の子が、その乳房を薄切りにしてカルパッチョとして販売している。
カルパッチョを注文すると、その場で胸を出してすぱすぱと切ってくれる。
女の子の乳房が消費され、なくなったら、カルパッチョはメニューからなくなるのだろうか? それとも女の子がクビになるのだろうか?
まるでフォアグラだ。と思う。
勉強会の、何人かの出席者はすでに死んでいて、けれど、彼らは死んだまま勉強会に出席している。
ゴミを払ってあげようと、背中に触ると、すでに冷たくなっている。
さりげなく、あのモンスターボールを填めこんであげようと思う。
けれどもどこに填めこめばいいのやら?
それが失礼にあたりはしないだろうか?
死んでいながら動いていたのに、モンスターボールを填めたら、動かなくなってしまうのではないだろうか?
そんなことを考えながら、左手でモンスターボールを握りしめている。
(08年8月9日10:16収録)