第190夜 「死んだ祖父が酒宴に現れる」
 酒盛りをしていると、死んだ祖父が来る。
 酒盛りは友人Nの親戚一同と、自分の親族一同の酒席。
 自分は一番末席に座っている。
 そして、自分からちょうどまっすぐ前の、親族たちの酒盛りの上座に、なぜか不機嫌な顔で祖父が座っているのを見つける。
 親族たちは、素早くアイコンタクトをとって、祖父のぶんの酒をもって来させようとする。
 アイコンタクトなのは、あからさまに気がつくと、死者である祖父が消えてしまうからだ。
 それとも、そういう予測を、親族たちはアイコンタクトで伝えあったのだろうか?
 祖父のぶんの酒は、あいにくビールしかない。
 それでも、ビールがいそいで注がれる。そして乾杯の音頭。
「乾杯!」
 だが、祖父が飲んでいるのは、いつのまにかビールではなくて、水である。

 祖父は、まだ祖父が亡くなった頃にはなかった小型携帯を使って、なにか話している。
 ものすごい早口でしゃべっている。
 そのため、何を、誰と話しているのかわからない。
 おそらく、他の死者たちと連絡をとりあっているのだろう。なぜ連絡をとっているかといえば、祖父の形をとらないときは、こうやって言葉こそが祖父の本体だからだろう。ものすごい速さで渦巻く言葉が、祖父の本体なのだ。そして、他の死者たちの言葉とは混ざり合うことはあっても溶け合うことはない。だから、こうやって個別の祖父の姿でいられるのだろう。
 早口だが、たしかに祖父の声なので、聞きとれないにもかかわらず、聞いていて安心する。

 なんとか、不安定な状態にあるこの祖父をひきとめたいのだが、自分には妙案がない。
 交代で、親族たちが祖父をとどめるために、祖父のもとにとどまらなくてはならなくなる。
 自分と、あとなぜか小学校のときの同級生Mは、いそいでジャグリングのルーティンの打ち合わせをはじめる。
 祖父に言葉が通じるかが疑問だったので、ジャグリングでひきとめることにしたのだ。
 Mはムーンウォークや空中側転、天井までとどくサマーソルトなど、さまざまな演技をみせる。
 自分は傘がちょっと舞わせるだけだ。Mには及びもつかない。
 自分はやや悄然として、祖父のもとにいくと
「祖父はもう帰ってしまったよ」と母に言われる。
 母と叔父は、“父が初めて母を祖父に紹介するシーン”の再現をやっていたらしい。

 祖父の残響なのか、『荒城の月』があたりから聞こえる。
 酒宴のビールは、ひたすら旨かった。
 その酒宴のなかになぜかレヴィ・ストロースも加わっているのを思い出す。
 レヴィ・ストロースは競技用自転車にのってツーリングをしていたが、自転車が壊れてしまって、それでこの酒宴にくわわっていたのだ。
 誰が自転車を壊したのかは知らない。

(08年8月19日03:29収録)
by warabannshi | 2008-08-23 23:48 | 夢日記 | Comments(0)
<< 第191夜 「天皇制はカップル... 第189夜 「裂けた右腕を結ぶ... >>



夢日記、読書メモ、レジュメなどの保管場所。
by warabannshi
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
twitter
カテゴリ
全体
翻訳(英→日)
論文・レジュメ
塩谷賢発言集
夢日記
メモ
その他
検索
以前の記事
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 11月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 03月
2007年 01月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2004年 11月
2004年 08月
2001年 12月
記事ランキング