第199夜 「感動的な映画。それは私の眼球の危機」
 昼間の、井の頭線の車内。進行方向からすると、車両の奥にいる。
 優先席には若いカップルがいて、ぼろぼろ泣いている。
 うちが題名を知らない映画(白黒の動物もの?)のパンフレットが女性のほうの足の上にあって、彼女の涙が落ちて、点々とにじんでいる。
 映画館で泣くならまだしも、映画が終わったあとで、電車のなかでも泣いているとは!
 どれだけ衝撃的な映画だったんだろう。
 それに、「男性だけ/女性だけが泣いていて、もう一方がちょっと冷めたような感じで連れ合いを眺めている」というよくある構図ではないのだ。両方とも嗚咽している。
 そのカップルの隣では、もう一組の、別のカップルがいて、やはり泣いている。
 優先席の一画だけが、自己啓発セミナー状態。
 うちは、車両のドアについているコンセントに携帯電話をつないでこっそりと充電中なので、その優先席の一画から離れることはできない。
 車両の窓から射し込んでくる陽光は真っ白で、四人分のしゃくり声を聴きながら、この光景が自分の眼球で撮っている、シュールレアリスム映画のワンシーンのように思えてくる。
 その眼球で撮っている映画こそが、四人の若者をいま感涙にむせばせている映画そのものであったら、いったいどういう事態になるだろう?
(なぜ『アンダルシアの犬』では序盤に女性の眼球をカミソリで裂くカットが挿入されているのか?
 それは、ある映画の、まさにその内部で、その映画とまったく同じ映画を撮影しようとする、もう一つのカメラがあってはならないからだ。
 あるゆる映画において、視点、あるいは画面は移動しこそすれ、併走しない。
 それは、あらゆる計算に「=」がただ一つだけ可能であることと同様だ。)
by warabannshi | 2008-09-22 19:55 | 夢日記 | Comments(0)
<< (無題) (無題) >>



夢日記、読書メモ、レジュメなどの保管場所。
by warabannshi
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
twitter
カテゴリ
全体
翻訳(英→日)
論文・レジュメ
塩谷賢発言集
夢日記
メモ
その他
検索
以前の記事
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 11月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 03月
2007年 01月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2004年 11月
2004年 08月
2001年 12月
記事ランキング