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第327夜「シベリアン・ハスキー」
 市ヶ谷の祖母宅から自転車に乗って帰る途中、西新宿の路上で、うずくまってぜえぜえ喘いでいるシベリアン・ハスキーと会う。
「夏バテだね」彼女Fがハスキー犬のお腹を触診しながら言う。「私もこんなふうになったことがある」
「ポカリスエット、飲むかな?」
「私は飲むよ」
 自販機でポカリを買って戻るとFはいず、ハスキー犬は布きれの敷かれた前カゴに乗せられている。連れて帰って世話をしろ、ということなのだろう、と思う。合点する。
 前カゴから聞こえるハスキー犬の荒い息継ぎの音を心配しながら、しばらく走ると、友人UとHが路上で卓球をしている。
 UとHに、拾ったハスキー犬のことを話していると、「説明が足りないな。まず、俺のTシャツが犬の下に敷かれて、びしょびしょになっていることからだ」とHが唸るように言う。
 ギョッとして改めると、たしかに以前Hから借りたシャツがハスキー犬の下で濡れている。汗だよ、こいつ夏バテしてポカリ飲んだから、と言おうとしたが、白々しいのでやめる。これはまちがいなく犬の排尿の跡である。
 シャツは洗濯して返すことになり、家に着く。
 玄関をあけると、巨大なスコアボードにびっしりと数字が書かれていて、その上に、「朝までかかります」という伝言。
by warabannshi | 2009-12-31 10:10 | 夢日記 | Comments(0)
第326夜「伴走」
 イタリア人の母娘と一緒に、どこかの環状道路を自転車で走っている。たいそうなスピードを出していて、ほとんどバイクも同然。前には五人、やはり自転車で走っている。国籍はわからない。私とイタリア人の母娘が、彼らと同じパーティなのはわかっているのだが、彼らは母娘を待つとかスピードを緩めるということをしない。
 私が母娘と伴走しているのは、私の自転車の前籠にキャベツや色鮮やかなパプリカが山積みになっていてそもそもスピードが出せないのと、二人を路上に置いてけぼりにしたら夜には凍死しかねないほど辺りが寒いからである。
 びよん、とうねるような上り坂があって、前方五人はかっこよくジャンプする。私たち三人は押さえ込むようにジャンプする。
 続いて、傾斜六十度くらいのスロープ付き階段がある。五人は下車することなくスロープを駈け登る。私は下車して、まずイタリア人の母娘に階段を登らせる。これはレディ・ファーストでもあり、パプリカが落ちたとき彼女らに当てないためである。
「息子には、いつも早くしろ、早くしろって、口癖のように言っていたんですよ。彼は私の言った通り、すぐに人生を終えてしまいました」
 自転車を押しながら、そう母親が呟く。
by warabannshi | 2009-12-26 17:34 | 夢日記 | Comments(0)
第325夜「欅」
 大ケヤキの剪定が行われているというので見物に行く。こんもりした深緑の山は、八十本ほどのケヤキが隙間なく密集して茂っている姿で、諸々の幹は一つの株を同じくするため内奥まで植木屋が入ることはできない。
 揃いの半纏を着た若い植木屋らが、枝に巻きつけた縄を自身の体にもまきつけ、詔を唱いながら外側の枝の剪定をしている。それをまたぐるっと見物人らが囲んでいる。これは神事なのだ。
「まあ、二月までかかるだろうね」
 隣りのカップルの男性が言う。ぽかんと口をあけている。
「写真をとっても、なんで写真をとったのか、後からわからなくなるだろうな」
 試しに手元のデジカメで大ケヤキを撮ってみる。すると、ケヤキの枝の葉々の代わりに意味不明なマークが写る。黒地に、微小な「K」「O」の金文字群で構成された一つの茶碗から一すじの白い湯気がたちのぼっていて、湯気は「よる」と行書体をえがいている。
「K先生が酒を飲みながら作ってくれた、君のシンボルマークだよ」
 いつの間にか目の前にはK先生がいて、誰かに後ろから突き飛ばされるようにシンボルマークの御礼を求められる。
 秀逸なデザインが有りがたかったため、自発的に、御礼を言いたかったのに、と思う。
by warabannshi | 2009-12-20 14:15 | 夢日記 | Comments(0)
第324夜「ゴジラ」
 ゴジラがあらわれ、都市部を荒らしているらしい。しかし私たちには関係ないだろうと、弟Y他、友人らと無人の防波堤でヴァカンスを楽しんでいる。日向ぼっこをしたり、釣りをしたり。私は塩谷さんの講義を録音したファイルを文章に起こしている。
 すると、ゴジラがどうやらこちらに近付いていることがラジオでわかる。地響きが近付いてくる。
 悲鳴をあげて海へ飛び込んでいく友人たち。私は講義を録音したボイス・レコーダーが故障すると嫌なので、ビニール袋に入れてから、口に含み、海に飛び込む。
 たしかにゴジラはやって来て、私たちのいた堤防を粉々にしようという意図もなしに粉々に踏みつぶす。そのときに渦潮が巻きおこり、私と弟Yはその渦潮のなかに飲み込まれる。
 海底は二重底になっており、私と弟Yは二つの“底”のあいだの空間に流し込まれる。
 濁流に抵抗することもできず、流されていると、「満腹室」という部屋の前に漂着する。
 「満腹室」の長テーブルには、八人分ほどのディナーが用意され、コーン・ポタージュは湯気をたてている。
 しかしまったくの無人である。
「博士になった学生の成功を、教授は素直に喜べないものだからね」
 弟Yはそう言って、「満腹室」のテーブルにつく。
「何の話?」
「******(忘却)」
 パンを食べている弟Yは、いつの間にか化粧の濃い中年女性になっている。
by warabannshi | 2009-12-16 14:54 | 夢日記 | Comments(0)
第323夜「廃墟」
 無人の廃墟にいる。鉄筋コンクリートの柱がぼろぼろに風化して、立ち枯れした樹のようになっており、それが乱立しているせいでシラカバの林のようである。
 霧に満たされた林のなかを歩いていると、目の前の樹の梢に巨大な蜂の巣がある。
 いまにも三十センチはある六角形の巣穴から蜂が飛び出してきそうだったので、落ち葉の代わりに積もった破片を蹴散らして、急いで逃げようとする。すると、いままでそれらの傍を通り過ぎてきた、どの樹にも、どの樹にも、その梢には巨大な蜂の巣がかかっている。

 巨大な蜂の巣を焼き払うための火炎放射器を持って、もう一度林に行く。すると、コロシアムがある。これもぼろぼろに風化している。
 なかに入るとやはり巨大な蜂の巣があるため、一つ一つ、焼いていく。どの巣穴からも蜂は出てこない。死骸すら出てこない。
 ふと振り返ると、走り去る人影が見える。
 ここは無人のはずだがと思い、おおい、と呼ばわると、人影は方向をかえて、こちらに走ってくる。どうやら全裸である。しかし、左耳にカッターを挟んでいる。満面の笑顔であるが、友好を示す笑顔なのか、気がふれたそれなのか、わからない。
by warabannshi | 2009-12-14 07:42 | 夢日記 | Comments(0)
第322夜「都市臭」
 新宿にある友人Yの別宅にあがりこんで勝手に麦茶を飲んでいると、私服のYが帰ってきたので、話す。
「東京って、どこにでもありそうで東京にしかない町じゃん」
「ふん」
「大阪とかは大阪にしかなさそうだけど、消費都市・東京は世界のどこにでもあって良さそうなのに、ここにしかないよね」
「そうね」
「雑踏を歩いているとき頭のなかで聞こえてくる言葉はどこから召喚されるんだろう? って考えるとき、平行して東京の局所性についても考えざるをえない」
「都市臭研究室というのがグランゼコールにはあってね、それによると、菌類の配置は重要らしいよ」
「わかる気がする。じつは東京は菌類の都市だったりして」
「お前なんか嫌いだー」
 Yは酔っていて、麦茶もなくなったので、一人で買いに出ることにする。
 別宅を出て、石灰岩の砂利を踏みしめながら、新宿の繁華街へと続くはずの下り坂を探す。
by warabannshi | 2009-12-12 09:54 | 夢日記 | Comments(0)
第321夜「人命救助」-
 高層ビルの四十階あたりで、ヘリコプターに誘拐されかけていた女子高生が、首に「keep out」のイエローテープを巻き付けたまま、ビルの壁面にひっかかっている。悪のヘリコプターは、タツノコプロの主人公みたいなのに撃退されたが、女子高生は墜落の危機を免れていない。
 野次馬が百人あまり、女子高生がぶらさがっているビルを取り囲み、そのなかに私と名前の知らない友人もいる。
「助けないと!」
「パンツって、どれくらいの距離から識別できるのかな」
「知らないよ。ちょっとどうにかしなきゃ!」
 パニック状態の私に対して、名前の知らない友人は冷静である。
「電信柱を伸ばせばいいんだよ」
 そう言うと、手元にあるリモコンを押す。すると、ビルの壁面近くにある電信柱が、みるみる上空へと伸びていく。
「そういう街だったんだ!?」
「君はいいから電信柱を登ってあの娘を救い、ヒーローぶっていなさい」
 しかし、女子高生は自分で伸びた電柱を伝いおりてきてしまう。
 地上に降り立った彼女を、拍手で迎える野次馬は、さっきの十分の一くらいに減っている。
 この春から公文の先生をやっているという彼女を、彼女の自宅まで名前の知らない友人と送り届ける道すがら、
「この事件の調書を書いてくれそうだった駐在さんの名前、わかる?」
「なんで?」
「いつから彼女がひっかかってたのかとか、どれくらいの時間で解決したのかとか、知りたいから」
by warabannshi | 2009-12-10 08:39 | 夢日記 | Comments(0)
第320夜「翻訳手伝い」
 農工大の院部屋で、友人Uの仕事を手伝っている。
 やっているのは、英語圏の人に日本を紹介するためのべらべらしたガイドブックの翻訳で、内容は毒にも薬にもならない。
「Uならこんな翻訳、ちょちょいのちょいだと思ってたよ」
「いや、俺、もともとそんな頭良くなくね?」
 そう言うUの口調は随分とやさぐれている。大学時代から彼の育ちの良さを知っているから、私はその口調に驚きを隠せない。彼にまかされた仕事の忙しさは、彼を磨耗させている。それなら、私が翻訳を手伝う甲斐がある。
 しかし、テキストの内容はつまらない。映画を観に行きたくて仕方がない。ふと見ると、紙を細く割いて作った輪をつなげた鎖が、床にぼろぼろと敷き詰められている。
by warabannshi | 2009-12-09 18:43 | 夢日記 | Comments(0)
第319夜「時刻合わせ」
 牧草地のまんなかで、時計の時刻を合わせる約束をしたので、待っている。誰と約束したかは覚えていない。ただ、寝袋や丸められたタオルケットが三つ四つ、ほつんほつんと草の上に置き去りにされているので、すでに何人かが、この辺りを訪れ、停泊していたことは疑いえない。とはいえ、それが時計の時刻合わせのためかどうかはわからない。
 霧雨が降ってきて肌寒くなってくる。タオルケットにくるまろうと、落ちている水色のそれを拾いあげる。すると地下茎のようにヒッピー風の男性がずるずると地中から引きずりだされてくる。唖然としていると、
「不機嫌な顔をしてはならない、謝らなくていいことを謝ってはならない、あなたが偽善者でないならば」
 いつの間にか、牧草地の中空は、いちめん数字で覆われている。
by warabannshi | 2009-12-07 08:50 | 夢日記 | Comments(0)
【明日!】日本ラカン協会第9回大会 詳細
 日時:2009年12月6日(日) 09:00~17:30
 場所:専修大学神田校舎7号館731教室(3F)
     (〒101-8425 東京都千代田区神田神保町3-8)
 交通: 営団地下鉄・神保町駅 徒歩3分
 大会参加費 : 無料

 1. 研究発表 09:00~11:45  (発表時間30分、質疑応答15分)
 09:00-09:45  石崎 恵子 (お茶の水女子大学大学院博士課程)
「精神分析における『絶対的差異』――西田哲学との対比において」
司会: 伊吹 克己(専修大学)
概要:ラカンが精神分析の立場として提示した「絶対的差異を得る欲望」とは、「S /対象a」及び「la Loi/les lois」における差異を求めるものであるが、この差異を別の角度から「一般/個物」「道徳/宗教」の相違として捉えていたと考えられる西田幾多郎の説との対比において、その分岐点から浮き彫りとなる差異の諸相と、日本におけるその可能性を探りたい。

 10:00-10:45  太田 和彦 (東京農工大学農学府)
「宮澤賢治と『師』の機能――『セミネールⅡ:自我』を中心に――」
司会: 福田肇(フランス・レンヌ第一大学哲学科博士課程)
概要:詩人・宮澤賢治(1987-1936)の心象スケッチ作品には、ほぼ必ずそれぞれの作成年月日が記されている。しかし第三集に収録されている作品1020「野の師父」には、例外的に草稿を含めてその作成年月日が記されていない――。これをきっかけとして、賢治の詩作・推敲における「師」の機能を、ラカンが『セミネールⅡ:自我』で行った「教える者への問い」を主に参照しつつ考察する。そして、〈賢治はなぜ推敲し続けたのか?〉という前回ワークショップからの疑問に、別の視角からの回答を試みる。


 11:00-11:45  柵瀬 宏平 (東京大学大学院総合文化研究科博士課程)
「ラカンによる『ハムレット』読解をめぐって」
司会: 原 和之(東京大学)
概要:シェイクスピアの『ハムレット』は、フロイト以来、精神分析において、エディプス・コンプレックスについて考えるための重要な参照項であった。1959 年、エディプス・コンプレックス概念の再構築という作業をひとまず終えたラカンは、この戯曲の読解に着手する。本発表は、ラカンによる『ハムレット』論を分析することで、ラカンによるエディプス・コンプレックス再解釈の内実を検討するとともに、この悲劇の読解を通じてラカンが練り上げた「欲望」概念がいかなるものであったかを明らかにすることを企図する。

 2. 昼休み 12:00~13:00

 3. 総会  13:00~14:00

 4. シンポジウム 14:30~17:30
〈 「いじめ」が終わるとき-変動する社会と精神分析 〉
企画・司会 : 磯村 大 (地精会 金杉クリニック)
  提題者 : 芹沢 俊介 (評論家)
    「いじめの定義とその力動」
  提題者 : 川崎 惣一 (北海道教育大学)
    「いじめの構造分析  中間集団における享楽」
  提題者 : 赤坂 和哉 (臨床心理士)
    「いじめの幻想的側面について」



***追記:こんなことをやりました***
 詩人 宮沢賢治(1987-1936)が生前に刊行した心象スケッチ集『春と修羅』および童話集『注文の多い料理店』において、彼は自らの作品の起源を自然現象から聴き取られた「声」であると度々表明します。「これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです」(『注文の多い料理店』「序」)と語られる、賢治に作品をもたらすとされる「声」は、決してレトリカルな修飾表現にとどまるものではなく、まさに賢治を魅惑し、同時に苛んだ分裂症的幻聴であるといえます。この点を、賢治の書簡や作品の推敲の経過などから、精神分析的知見を用いて、第七回ワークショップでは指摘しました。ただし賢治は単なる患者ではなく、風や樹々などの「声」を、彼に倫理的行動を要請する「まことのことば」としても聴き取ります。第九回大会では、その背景に「野の師父」と賢治に名指される機能が見出されることについて、精神分析医 ジャック・ラカンの『セミネールⅡ』の議論を参照しつつ考察しました。
by warabannshi | 2009-12-05 20:44 | Comments(0)



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