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第384夜「ツイッター」
 ツイッターのタイムラインを閲覧していると、古書店主による次のようなツイートを見つける。
「日本経済新聞がめずらしく誤植。芥川賞受賞祝い、が、受賞呪いになっている。嬉しくなったので、二倍に拡大コピーをとって、袋に入れた。これで眠るときに身につけるものが二つになった。御守りと呪岱である。これらは絶望のヴァリアントなのだ」
by warabannshi | 2010-06-30 04:03 | 夢日記 | Comments(0)
第383夜「面会」
 刑務所に面会に行く。どうでもいいような週刊誌の記者である私は、やはりどうでもいいような罪状で実刑判決を受けた中国人男性から、どうでもいいような取材をしなければならない。ピテカントロプスの看守に案内される。刑務所内は蒸し暑く、おそらく死刑かそれに類する刑に使われるのであろうアスファルト釜がもうもうと湯気を立てている。
「帰ってください」中国人男性は小さな面会室で、腕立て伏せをしながら私に言う。「あなたのセンパイがわたしとどのような関係があったというのですか?」
「まだファミコンが全盛期だったとき、上野のおもちゃ屋で二人して毎夜毎夜、万引きを重ねていたという話だけれど」
「とんでもない話です」
 男は腕立て伏せをやめて立ち上がる。箸のように痩せた腕に、しゅるしゅるとシャツの穴をくぐらせて着る。
「それはもちろん、二人で陳列棚のそばにしゃがみ、娘らの乳房の揺れを見あげていたこともありました」
「そうなの?」
 男のシャツには「乳臭万年」と書かれている。
by warabannshi | 2010-06-27 07:10 | 夢日記 | Comments(0)
第382夜「エクソダス」
 フランスの一つの町の住人、三万人が、まるごと移動しているというニュース。全員がビザを持っているために違法にはならないが、まるで何かから逃げ回るかのように、世界各地で居場所を転々とする「町の住人」たち。エクソダスである。延々と道路につづくトラックのキャラバン。ニュース映像は、まるで映画の予告編のようにフラッシュとナレーションを凝らしたものである。
「右腕の筋が痛むんだ。三角巾で吊りたいくらいだ。あと五十年ほどで筋肉なんて捨ててしまうのに、なぜこんなにも痛むのだろうね」
 小機関銃を携えた「町」の若者が、そういいながら巨大なクワガタムシを銃殺する映像。
by warabannshi | 2010-06-22 07:05 | 夢日記 | Comments(0)
第381夜「執着」
 後頭部と頚椎のあたりから、四対・八本の足が生えている。足はすべて六メートルほどの長さで、それぞれ一つの関節がついている。影絵のような丘の稜線をめりめりと歩いていると、同僚のS先生に会う。
「太田先生、すごいところに胸があるんですね!」
「自分も知りませんでした」
 でも、昆虫ならともかく、私の節足は八本あるのでどちらかというと蜘蛛だろう。蜘蛛に胸はない。
 S先生はもちろん地上にいて、私は四メートルぐらいの宙空から、首を吊ったような姿勢で話す。S先生といろいろと話していると、いつしか紙屑のような見物人が集まっている。
「小川、ご覧。またしてもですよ」
「レトルト味噌汁」
 小さな見物人たちは口々に意味不明なことを言う。屋台を引いている者もあり、その屋台には朝顔や万年青、松葉蘭などの鉢植えがつまれている。
 ふと気がつくと、もともとの手足が黄土色に変色し、瘤だらけになっている。ぶくぶくに変形した皮膚からは波が引いていくように感覚と水分が失われ、あっという間に私の首から下は、粉薬か胞子のように、粉末状に砕け散る。見物人たちは、わあ、と一斉に四方に逃げていく。粉塵となった有機体は、景色のない丘に吹く次の風がすべて散らし、私は途方に暮れる。
(なるほど。たしかに私の五体は失われた。しかし、「この」現実に根を下ろすためには、この姿こそが「観全体(=完全体)」ではないのか? ただし、ブラックボックスは常にある。【執着のレッスンとしての反実仮想】。もし……)
 八本の節足に支えられた頭部と頚椎で私はとめどなく自問する。
by warabannshi | 2010-06-19 09:37 | 夢日記 | Comments(0)
【告知】J. ベアード・キャリコット(環境倫理学)講演のお知らせ
J. ベアード・キャリコット教授公開講演会「生物多様性―その意味は?また、なぜそれは善なのか?」

日時:2010年6月30日(水)17:00-
場所:東京大学本郷キャンパス法文2号館1番大教室

【講演者】
J. ベアード・キャリコット(J. Baird Callicott)ノース・テキサス大学教授
【入場】
無料
【主催】
東京大学グローバルCOE「死生学の展開と組織化」(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/shiseigaku/index.html)
【言語】
英語(質疑応答は通訳あり)
【講演会趣旨】
グローバルCOE「死生学の展開と組織化」は、このたび環境倫理学のパイオニアの一人として知られ。J.ベアード・キャリコット教授(ノース・テキサス大学)をお招きし、以下のように公開講演会を開催します。講演はパワーポイントを用い英語で行いますが、質疑応答は通訳がつきます。
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キャリコット教授は環境倫理学を早くから唱道して来られました。1971年にウイスコンシン大学で世界最初の「環境倫理」の講義を行い、1994年から2000年にかけては、国際環境倫理学会の会長を務められました。"In Defence of the Land Ethics"という著書があることからも分かるように、キャリコット教授はアルド・レオポルド(1887-1948)が唱えた「土地倫理」の考え方を
継承し、「自然の権利」の概念やエコセントリズムの思想の発展に力を尽くしてきました。昨年、日本語訳書が刊行された『地球の洞察―多文化時代の環境哲学〈エコロジーの思想〉』(みすず書房、原著、1994年刊)では、アジアの宗教や文化伝統にも多大な関心を寄せて、文化的多様性を踏まえ
た環境倫理学の構築に取り組んでおられます。この度の公開講演では、環境倫理学の鍵概念の一つでもある「生物多様性」について、正面から論じられます。どうぞふるってご参加下さい。

【オーガナイザー】
島薗進(宗教学研究室)
【講演会・ウェブサイト】
こちら(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/shiseigaku/ja/yotei/k100630.htm)からどうぞ

地球の洞察――多文化時代の環境哲学 〈エコロジーの思想〉

J・ベアード・キャリコット / みすず書房


by warabannshi | 2010-06-15 11:56 | その他 | Comments(0)
第380夜「事故」
 死体安置室で、死体として解剖を受けている。わりと好きにしていいよ、という達観。
「口腔内に大きな裂傷。ボクシングによるものか」
「火傷じゃないの」
 二人の若い医師が、私の口をこじあけてそんなことをいっている。私は、すまして聴いている。クリーム色のゴム手袋の指先が、顔にかざされるたびにビニール臭い。そして眩しい。もし口のなかに眩しさを感じる感覚器があったら、くしゃみを耐えられないだろう、と思う。
 ところで、私はなぜ死んでしまったのか。
 修行中の事故だ。
 私は森のなかで先輩Mと修行中だった。
「基本的に、触って痛くないもの、かぶれないものは、この森に生えていないし、這っていないと考えてもらっていい」
 そう先輩Mは言った。そして湿った脱脂綿で、露出している皮膚を丁寧にぬぐい始めた。
「なんですか、それは?」
「みかんの皮を干したやつ山椒を粉にして、水で溶いたの。虫除けだよ。首筋にはまんべんなく塗っておいたほうがいい。前は枕に虫がたかって、俺は寝られんかったからね」
 私も先輩Mから脱脂綿をもらい、首筋に塗る。そういえば、さっきからものすごい赤いとか黄色い(=警戒色の)小さい甲虫が多い気かする。私は気をひきしめる。
 不意に、掘っ立て小屋のようなお堂の観音扉が開く。
 そして二〇人ほどの小坊主たちが雛壇に立ち、法華経の方便品第二を、まるで聖歌隊のように読経しはじめる。
 小坊主のなかには女児も含まれており、彼女らは剃髪していない。読経の半ばにさしかかったとき、些細なことから男児と女児いがみあい、どつきあいをはじめる。そのどつきあいは次々に波及し、あっという間に雛壇はめちゃくちゃになって壊れる。小坊主たちもまた、風に吹き消された蒸気のようにいなくなる。
by warabannshi | 2010-06-15 08:32 | 夢日記 | Comments(0)
第379夜「蛹」
 胃に大量発生した糸。そのせいでまったく食欲がない。彼女Fに胃の辺りを押してもらうと、ぴゅるると蚕のように蛋白質の糸を吐く。
「サプリメントの飲み過ぎだね。うまくいった時の事しか考えないからですよ」
 冷めた感じで診断を下すFの前で、変体が始まる。目と耳と口の間から黄金色のキチン質に換装されていく。
 さらに換装は進むのかと思いきや、顔が卵割をおこしたような状態で変体は止まる。
「困ったことになった」
「大丈夫」
 Fは私の背中を用意していた鉈で縦に割りはじめる。そうか、私の胎内から蛹を取り出せばいいのか。状況がどう転んでも対処できるFに感心する。
by warabannshi | 2010-06-14 08:41 | 夢日記 | Comments(0)
第378夜「爆撃」
 朝起きると、床に七十羽ほどの鶏がまったく隙間なく詰まっている。このなかの半分は「にせ鶏」であり任意の手法(拍手をうつとか)で消すことができるのだが、そんなことをしている暇はない。鶏たちが私の部屋に詰められているということ。それは、この基地に重爆撃がなされる予兆である。
 少佐である私は、すぐに身支度を整えて、鶏を踏まないように個室から出る。作戦会議室は、この基地では慰安のためにあるルイーザの酒場のような英国風パブの裏階段を下りた先である。
「人の世に迫害のない例(ためし)はない」
 この合言葉で、階段の前に陣取っている筋肉でできた達磨のような大男を横にどかす。
 いそいで階段を下りていくと、ついに爆撃がはじまったようで、携帯電話のディスプレイに表示されている、死者数を示すデジタル数字がぐんぐんと上がり20000にまで達する。
 この爆撃は、じつは小学一年生の男子によって行われている。弁当に入っている肉の焼き加減に不満をもっていた彼は、格納庫で遊んでいるうちに、彼の感情と同期した何機かを飛ばしてしまったのだ。
by warabannshi | 2010-06-13 08:04 | 夢日記 | Comments(0)
現図.003
 神綴! 遠い現実から、断片による不意の介入! そのとき目と、耳と、口の間で何が生じ、何が脈うっているのだろう。
(遠い現実からの断片は常に透明である。そのため、歩行は常に風を切るようになされなくてはならない)
 遠い現実。
 真性のプラトニック・ラヴァーにとって、より重要なのは、イデアが「遠くあること」なのか? 「実在すること」なのか?
 しかし歩行のただなかで、私たちが足の踵の半透明の角質層を意識しないように、遠い現実からの神綴を読む恍惚にある私たちを、粘土や若草は意識しないだろう。
【「神充(エントゥシアスモス)」はB.C.5-6cの古代ギリシアにおけるディオニュソス信仰の、死と再生の秘儀の体験のこと。集団単位における恍惚を指し、個体におけるエクスタシスとは非なるものである。】
by warabannshi | 2010-06-10 00:35 | 夢日記 | Comments(0)
第376夜「布屋敷の大虐殺」
 布屋敷で行われている格闘トーナメント。その裏側で、密かに進められている異能力者たちの虐殺。虐殺は、彼らを被験体とした生体実験を目的としたものである。しかし参加している異能力者たちは、彼らの試合が生中継されていることに安心して、試合後のことまで考えていない。
 準決勝のフィールドに行くまでのエレベータの箱の壁には「poison invisibly」というダイイング・メッセージが残されている。アルペチーヌという白米に似た顔の男が彼の血液で書いたものだ。このような断片がきれぎれに布屋敷には残されている。

 大規模な解剖が行われた半地下の部屋(フェリス女学院の化学実験室に似ている)には、床一面におがくずが撒いてある。
「誰がこんなことを!」と私はおがくずをまぶされた肉片を両手で掬う。でも私の着ているのは白衣だ。
by warabannshi | 2010-06-07 14:14 | 夢日記 | Comments(0)



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