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第480夜「ネット懐炉」
 温泉の湯壷で、馬のように顔の長い壮年の武道家と話す。濃い湯気にまざってやたらと蕎麦の香がする。
「ネットは懐炉みたいなものだよ」
「カイロ? 回路?」
「寒いときに暖をもたらしてくれる」
「ああ、ホッカイロとかのですか」
「緊急事態のときほどネット環境が整っていないのは残念だ」
「神よ、電話回線に永遠の祝福を、ですね」
「いやまったく」
by warabannshi | 2011-04-21 09:05 | 夢日記 | Comments(0)
第479夜「菌類動画」
 楠枝さん、という、彼女FのBキャラと思しき女性に、いろいろな種類の菌類がエンヤの楽曲とともに成長していくYouTubeの動画を紹介してもらう。
「部屋で一人で見てたら、なんだか四方の壁に押し潰される幻覚を見そうですね」
「でしょ。こんなのもあるんだよ」
 楠枝さんはノートパソコンから他の動画を選ぶ。
 シャーレの泥のなかに緑鮮やかな松葉が何本か浮かんでいる。松葉のすっきりとした植物性の硬質さを、じつに好ましいと思う。その松葉が細かく震えだしたと思うと、シャーレの中心にぞぞっと集まり、縄をなうかのように捻りながら構造体を作っていく。
「わかった! これがキノコになるんでしょう!」
 しかしその瞬間、
by warabannshi | 2011-04-21 08:51 | 夢日記 | Comments(0)
第478夜「good luck」
 東京湾のヘドロの堆積量を調べるために、分銅のついた細い鎖を大きな筏に開けられた穴から海中にするするとくりのべている。まるで風呂に栓をしようとしているかのようだ。
 死体があがった! という知らせが、筏の別の場所で同じ作業をしている仲間から伝わる。これで今日の仕事は終わり。あとは鑑識の仕事となる。
 陸に上がり、自転車をこぎながら銭湯にでも行こうと考えていると、長い長いフェンスが続くグラウンドにつく。米軍基地みたいにだだっ広い。数人が短距離走の稽古をしている。そのうちの一人が肩で息をしながら、フェンス越しにクールダウンしている。
(野球かサッカーをやりたい。が、球技は苦手だ…)
 その高校生くらいの少年の思念が読み取れる。
(『スラムダンク』、読んだことある?)
 私は彼に思念を送り、前かごに入っていたバスケボールを、ジャンプシュートの要領で、フェンスの向こう側にパスする。一回目はぎりぎりフェンスの端に届かず、こちら側に落ち、二回目でようやく、フェンスの向こう側の少年の手にボールは渡る。
 しばらく私たちは顔を見合わせていた。やがて少年のもとにもう一人の少年がやってきて、ドリンク剤の瓶を渡す。もう一人の少年は怪訝そうに私の顔を見て、練習に戻っていった。少年はフェンス越しに、それを私にくれる。そして、左手の親指をあげてみせる。good luck。そうだ、good luck。
 私たちはお互いの好運を祈りながら別れる。
 私は古本屋街で、貰ったドリンク剤を飲んだ。ドリンク剤は半分くらいしか残っていない飲み差しで、どこの国のかわからない言葉で薬効が書かれていたが、リポビタンDと同じ味がした。そして、自転車をグラウンド沿いの歩道に忘れてきたことに気づく。
by warabannshi | 2011-04-20 09:48 | 夢日記 | Comments(0)
第477夜「留守電」
 留守電にT君の録音が入っている。ものすごい反響音がかかっているせいで、何と言っているか聴き取れない。
「エコーがかかりすぎて聞こえないよ」と録音を流す受話器に向かっていうと、次第に反響音が収まってきて、「今日、俺んち来ませんか?」というメッセージに収斂する。
「半徹夜だったから寝ていたいんだ、またの機会に」と言おうとすると、私の声がこんどはものすごい反響して、自分でもきちんと発音できているのか判然としない。
「困ったことになった」
 そう、わざわざ口に出してみて、楽しむ。
by warabannshi | 2011-04-18 09:55 | 夢日記 | Comments(0)
第476夜「寝起き師」
 中野駅のバス・ロータリーの傍にある立ち食い蕎麦屋で温かい蕎麦を食べながらテレビを見ている。人の寝起きを見計らって訪ねてくる寝起き師へのインタヴューが流れている。
「一番難しいのは、当たり前ですが、人がいつ目を醒ますか、ということです」と寝起き師は言う。「私の訪問で人を起こすのではない。それは失敗です。あくまでも、タイミングを合わせることが重要なのです」
 そのインタヴューは中野で行われているので、寝起き師を出待ちしてみようかと思う。
by warabannshi | 2011-04-16 17:47 | 夢日記 | Comments(0)
第475夜「屍姦」
 屍姦の疑いをかけられて山奥まで逃げてきた痩せた男。薄い肩の上にのっている頭がやけに大きく見える。頭骨そのものが大振りにできているのかもしれない。草の汁で汚れた左手の薬指にはシンプルな銀の婚約指輪が光っている。
 木の根がはげしく隆起している山道をしばらく歩くと、谷川で修行中の坊主たちに出会う。初老のものを師範として、十歳に満たないほどの小坊主が二人、凍えるような清水にこむらのあたりまで漬かって何かを唱えながら歩いている。
 御坊、突然ですまないけれど、少しだけ寺においてくれないか。この腕でできる仕事ならなんでも手伝う。
 痩せた男は初老の男に声をかける。修行僧はうなづき、名前は、と問い返す。
 サンダラ、という名の語尾に奴隷の出自を感じたのか、三者一様に眉を曇らせる。
「アメリカ出身なんだ」と痩せた男は弁明する。
 離れの一室をあてがわれた痩せた男は、畳に仰向けになって、彼の指に挟んだメッセージ・カードを眺めている。
「君も、彼女と同じく、人間なのか、亡霊なのか。
 もし後者なら、なぜ現象にたどりついたものが人界に戻り、影響をもたらすのか?」
 痩せた男の妻であった、黒髪の美女の死骸が、彼に添い寝しながら言う。
「私からうばったものをよこさず、よこさなくていいものを返そうとするからよ」
 腐乱しつつある彼女の両目と左腕は落ち、彼女の体のところどころは熟れきったゆずのように、皮が剥けながら中身が出ている。乳房を支える大胸筋が肋骨から外れるのではないかひやひやする。
 男は死骸の皮膚がよれないようにやさしく彼女の背中を愛撫する。舌なめずりをするような音。水滴がしたたる豊艶な触覚の下で、鉛筆のように痩せているその身体に少しずつ少しずつ肉がつくようである。

 漫画を描いている友人Kが、この自主制作映画のコメンタリーを務めてくれている。
「ここのところ、一本の髪の毛がくしゅくしゅって丸まって蠅になるカット、コマ撮りしたのよ」
「まじ? どれだけ時間かかったの?」
「一匹撮るのに、一日。十台のカメラで別々に撮って、つなぎ合わせたの。叩き潰されて、髪の毛にもどるところあるでしょう。あれも一日かかった」
by warabannshi | 2011-04-11 07:35 | 夢日記 | Comments(0)
第474夜「ゴーストバスターズ」
 Sさんと映画の話をしている。
「Sさんは『ゴーストバスターズ』見たことありますか?」
「うん。“最後まで可視化されないゴースト”が出てこなくて残念だった」
by warabannshi | 2011-04-10 10:29 | 夢日記 | Comments(0)
第473夜「青物芝居」
 八百屋に林檎を含む何種類かの野菜を注文しようとする。母Nに電話番号を聞くが、十桁のうちの下一桁がまちがった番号ばかり教える。かろうじて、正しい番号を引き当てて、向こう側で受話器がとられるが、なんとも素っ気ない対応をされて、注文も聞かれないうちに通話を切られる。
 なんて対応だ、と腹を立てていると、目の前の倉庫に白い軽トラックが乗り付けられ、ぞくぞくと大道具が運び込まれていく。舟越桂の彫刻作品のような、奇妙な木製の立像が八体ほど。そして座席代わりのりんご箱が四十個ほど。私は思い出す。これから青物商たちの組合が芝居をやるのだ。開演時刻に準備が間に合わなそうだったから、あんなに電話を早く切りたがっていたのだ。
 倉庫のなかはエチレンの芳気でむせ返らんばかりである。青物商たちはもちろん平気な顔をしているが、気分が悪くなりそうなので、倉庫のなかからは退散する。とはいえ、芝居が見られなくなるわけではない。倉庫の三方の壁は吹き抜けなのだ。にもかかわらず、林檎の匂いが客席にこもるのは不思議なことである。
 軽トラックの荷台に腰をかけて待っていると、舞台の前口上がはじまる。
 マゼラン海峡で数年間、潮風に吹かれてきたようなぼさぼさ髪の巨漢が、黒板に絵を描きながら、この土地に鮫や亀に飲まれた人間が、その体内から脱出する話が多い、という話をする。巨漢の描いた色とりどりのチョークの線は、コマ撮り映画のようにふるふると動き出し、鮫などを演じだす。
「この鮫や亀は、じつは一人の検校を表わしていたのです」
 その検校は多くの門人たちを使役していたが、人使いが荒く、またそれで倒れる者を顧みない性質だった。
「だから逃げ出す者が多かったのです。とはいえ、盲は盲。そんなに遠くへは行けず、あっと言うまに検校のところに連れ戻されてしまいます。それでも逃げおおせた者は、検校に見つからないように、坊主頭の検校を鮫や亀に見立てて、その横暴を歌ったのでした」
 怪我が化膿して、左太腿から膿が流れ出しても海水で洗えば治ると放っておかれる、という意味の歌をマゼランの巨漢が朗々と歌う。
by warabannshi | 2011-04-07 06:33 | 夢日記 | Comments(0)
第472夜「問答屋」
 熊野神社の祭りに問答屋の屋台が出ている。金を払うと、テキ屋のおじさんが禅問答のような意味不明な問いをふっかけてきて、それに(あたうるかぎり)当意即妙な答えを返す。その答えに応じて、観客に配られた「much」と「bitch」のどちらかの札が上がる。
 景品は大したことないけど、やりきることに意義がある。型抜きみたいなものだ。
 金を払うと、鳴り物でおじさんが客を集める。このときに緊張すると二分後の赤っ恥は確定である。
 おじさんは真っ黒い紙を机に叩きつける。
「これがお前の全ての知識だ」
 私は答える。
「酔ってるときは千代紙」
 テキ屋。
「心眼を持つ絵描きとは?」
 私。
「すくたれ者」
「お前の後ろにそいつがいるぞ」
 私は振り返らない。

 結果はよく覚えていない。
by warabannshi | 2011-04-05 10:04 | 夢日記 | Comments(0)
第471夜「即売会」
同人誌即売会場。文フリのようだけど、豪華客船内で行われており、アイドルの特別ステージも設けられている。私はアイドルを出待ちして突っ込んでくるファンたちを体で押し止める警備員の一人。各サークルは、このイベントで何かの役割を担わなくてはならない。
 貧乏籤を引いた、と思う。そのアイドルはにわか警備員たちの実力を試すように、私たちのバリケードのすぐ裏側を走り抜けるそうである。
 いっそ意図的になぎ倒されてバリケードを崩壊させようか、と思っていると、ステージを終えた彼女が走ってくる。脚が細いなあ! と感心したのは一瞬、同じような顔のぶりぶりした数百人の男たちに苦もなくなぎ倒される。
 気がつくと、辺りでは、紙屑やガムテープの丸まったのや使い終わったサイリウムが散乱しているのをスタッフたちが片付けている。そのなかに小学校の友人Dがいる。
「あの娘、うまく会場出られたか知ってる?」
 そう聞こうとしたとき、即売会場で幾つもの爆発音が響く。
「第2回が始まったね」と友人D。
「なにそれ?」
「勝ち抜きで、負けたブースは爆破されるらしいよ。東浩紀プロデュースで」
「まじ? 東さんがいると大抵の悪ふざけは実現可能だな」
「スタッフやってるブースは第2回は爆破されないらしいけど、次はわからん」
 おまけに、どういう基準で勝ち抜きが達成されるのか、みんな知らない。
by warabannshi | 2011-04-05 10:02 | 夢日記 | Comments(0)



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