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第531夜「王族」
 友人Hが王族の一員だったことが、彼の結婚で明らかになり、祝宴が催されている。私はスーツ姿のまま、三次会のカラオケ屋に急ぐ。
 カラオケ屋に続く狭い階段の壁には、たくさんの造花、そして、靴の泥を落とすための緑色のマット(新品)が貼り付けられている。
「やはり友人Hの出迎えのためですか?」
 部屋へ案内してくれる店員に聞くと、
「椰子の木の葉をイメージしてみました。Hさんはハワイ島のご出身だそうで…」
 初耳だ。もしかして、王族ではなく、酋長の一家の間違いなのではないかと思う。
 部屋はお座敷で、十人ほどの友人らは車座になってすっかり出来上がっている。ベトナム料理の大皿が置かれている。Hの姿はない。
「太田の曲、入れておいたから!」
「いま、Hのやってたバンドの曲縛り」
 口々に言われ、ビールとマイクが手渡される。選曲が終わり、聴いたことがあるようなないようなメロディが流れてくる。歌詞は以下のようなもの。

極彩色の海の 幸
****** ******(不明)
****** 臍が枯れても
****** ******
by warabannshi | 2011-11-30 08:12 | 夢日記 | Comments(0)
第530夜「直通」
 9階の本屋で買い物をしている。ミネルヴァ書房の灰色の表紙の単行本を2冊買ったが、欲しいもう1冊が書架にない。店員に探してもらっているが、なかなか見つからないらしく、私の名前が呼び出されない。手帳のコーナーも一通り見終わってしまい、退屈していると、閉店を告げるオルゴール曲が流れ始める。
 明日また来よう。それまでには補填されているだろう。エレベーターで降りると、1階は買い物客が犇きあっている。歳末の大売出しと幾つかの催事が重なっているようで、おこわと焼き栗の匂いがむんむんとしている。買い物客の顔は誰も彼も、段ボールのように薄汚れていて、居たたまれない。
 空くまで本屋で待とう、閉店直前まで。そう思い、エレベーターに戻る。12階まであるが、9階の本屋は12階の上にある。
 そもそも私は何の本を買ったのだっけ? 両手に1冊ずつ持っていた本の題名を見ると、右手のには『Q********(不明:英単語)』、左手のには『変身願望と輪廻』。なぜかすでに、カバーは剥がれている。
 上昇する筐体に揺られていると、不意に6階で止まり、扉が開く。
「いらっしゃいませ!」
 和風居酒屋らしく、着物のようなコスチュームの女性が迎えてくれる。
「すいません、行きたいのは9階なんですけれど、止まっちゃって…」
「もう最終便が出てしまいましたよ。厨房で使う直通エレベーターで良ければご案内します」
「お願いします」
 酔客たちが行き交う廊下を抜け、厨房をくぐり、窓を開けて、
「どうぞ」
 そう示されたのは、弁当や食器などを運ぶ籠である。ビルのガラス拭き用のリフトをずっと貧弱にしたような代物で、高所の風に揺れている。私は正直、まったく乗りたくなく、やっぱり帰ります、と言いたかったが、女性店員他、厨房の料理人たちの私の度胸を試すような視線を感じる。
 礼を告げて、籠に乗ると、滑車が嫌な音を立てて回りだす。7階からは安宿らしく、雑草の繁茂したベランダ越しに、赤塚不二夫が原稿を描いているのが覗き見える。
by warabannshi | 2011-11-27 10:55 | 夢日記 | Comments(0)
第529夜「新種」
 モグラを握りこぶし位の大きさにして、ふわふわの黒い巻き毛でおおい、豚の鼻をつけた動物をペットとして飼うことが流行している。巻き毛のせいで、視界は悪く、よく物にぶつかる。そのわりにちょろちょろよく走る。トローチを吹いているような、掠れた笛を思わせる鳴き声をして、ときどき「ブキッ」とくしゃみをする。そのくしゃみが堪らなく可愛いのだと、その愛玩用の動物を飼っている人たちは言う。
「私も5匹、飼ってるんだよ」
 名前を知らない友人が言う。
「何年かたつと、めちゃくちゃ大きくなるんじゃないの。『マザー2』のドコドコ砂漠にいる穴の主みたいに」
「ちゃんと専用の餌を与えていれば大きくならないし、専用餌もそんなに高くないから平気」
「増えたら?」
「不妊性だよ」
 いたたまれなくなって、私は教室を出る。育つことも増えることもできない、可愛がられるためだけに造られた新種。そんなことがあって良いはずがない。私は購買部に行く。欲しいのはコンパスで、やりたいのは、広げた手の指の間を、コンパスの針を高速で行き来させるあの蛮行だ。
by warabannshi | 2011-11-17 10:46 | 夢日記 | Comments(0)
第528夜「チーズ」
 サッカーチームの監督、というか思想面でのプロデューサーのようなものをやっている。試合直前の練習後、熱心な選手に、「つまり、因果を逆にしろ、ということをおっしゃりたいのですね? 蹴るからボールはゴールされるのではなく、ゴールされるためにボールを蹴るのだと」といろいろ話しかけられる。「そうだ、その通りだ」と激励しながら、私はコートの隅っこにあるいつも日影の自動販売機で午後の紅茶のペットボトルを買う。
 ベンチに座って一息ついていると、携帯が鳴る。
 白金台でやる結婚披露宴に来てください、という友人Oからのメールである。そうか、彼女も結婚するのか、うんうん、と遠い目になりながら、日時をよく見てみると、なんと今日、これからである。
 いそいでタクシーにのって会場まで駆けつける。しかし、いそぎすぎて携帯についているカメラのレンズがいまにも外れてしまいそうにうるうるとしている。レストランの入り口で給仕に「お名前をよろしいですか」と聞かれたとたん、とうとう落ちてしまう。レンズのあまりの透過性の高さゆえに、いちど落ちてしまうと探すのは不可能だ。これでは写真が撮れない。観念して、もう今日はひたすら食べて、飲んで、場を盛り上げることにつとめよう、と決める。
 会場は半分くらい埋まっていて、チーズフォンデュに使う大きな木椀が各テーブルにひとつずつ置いてある。着座すると、Fさんもいる。
「なんか、パンとチーズは先に食べていて良いらしいよ」
 そうなのか。私はさっそく、桶に入っているブリーチーズをパンにつけて食べる。
 ものすごく美味しい。いや、ほんとうにパンとチーズの概念が更新されるくらいに美味しい。パンは噛むとオリーブオイルのほのかな香りが鼻腔に抜ける。チーズも味そのものは強くないが、パンの甘みを引き立て、フレッシュさを舌にとどめる。白ワインを飲むことが許されていたら、むしろ口を洗い、なんどもこの至高のパンとチーズのマリアージュを味わうためにそれを口に含むだろう。
「ものすごく幸福そうな顔してパン食べるね、太田君は」
「いや、もし効果音が鳴ってたら、いまうちのレベルが20くらい上がったのがわかったはずですよ。ワイヤーアクションをワイヤーなしにできるくらい、うまいです、パンもチーズも。すみません、こんな比喩しか使えないのが左席にいて」
by warabannshi | 2011-11-10 16:16 | 夢日記 | Comments(0)
第527夜「銀河鉄道」
 臨海都市から出ている吊り下げ式のモノレールに乗って、海上、二千メートルほどの高度の空をさらに上っている。蛹のようにレールを抱き込んでいるこの乗り物がちょっとでもその手を滑らせれば、私たちは十数秒にわたる悲鳴をあげつづけたあげく、海の藻屑と化すだろう。出発駅の臨海都市の高層ビル群は、ミニチュアほどになっている。離陸した飛行機から見える眺望は、こんな感じだが、モノレールの車窓から見ると、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』が思いだされる。
「ハロー、いま君にすばらしい世界が見えますか」
 群青色から黒に変わりつつある夕方の都市に、私は簡単な祝福を送る。
 隣の客席では、二足歩行をする鰐が、ガレオン船を押して進水式を行った。しかし喫水線がどうたら、という話をしている。
 私の降りる駅はひどく小さく、シングルベッド一つぶんほどである。煉瓦でできたプラットフォームには、転落防止のための柵もなく、まったくの吹きさらしである。高度三千メートルほどの宙空に浮いたこの悲しいほど簡素な足場の上で、私は入浴することにする。なんといっても、このプラットフォームのほとんどを占めているのは、アヒルのような足をつけた白いバスタブなのだ。バスタブには湯が張られており、湯気は良い香りがする。
 このままちょっと重心を傾けたら、バスタブにはまったまま全裸で、湯を無数の水滴へと拡散させながら星空を落ちていくのか、とてもシュールだ、と思いつつ湯船のなかで体を洗う。いつのまにか壁が一枚だけできており、そこには古今東西の映画のポスターが貼ってある。リバイバルされた映画については、古いものと新しいものとが、隣り合わせで貼ってある。それを眺めながら、壁が一枚もないときよりも、落下の恐怖にとらわれはじめている自分自身を発見する。
by warabannshi | 2011-11-06 10:26 | 夢日記 | Comments(0)



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