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第703夜「便利屋」
 はるか昔に崩れた城壁にぐるりと囲まれた開けた中庭で、何人かの名前の知らない便利屋の同僚たちと、やはり名前を知らない上司から今日の仕事の割り振りを聞いている。テーブルに並んでいるピザはどれも冷め気味であるが、良く晴れていて頗る気分が良い。
「君はツバメの巣ね」
 紙束に目を落としたまま、上司は私に言う。
「アマツバメのものでなくて良いのですか?そこらへんにあるものでも?」
「指定はない。でも、卵、糞、羽毛以外の巣のなかの異物は捨てずに必ず保管するようにと書いてある」
 この話を知っている、と私は直感する。燕の子安貝だ。石上麿足はアウトソーシングしたのだ。
 私はさっそく腕を上下させて羽ばたき、夏にツバメが巣を作っていた石壁の縁に降りたつ。とりあえず一つめ、とその巣を回収しようとしたそのとき、巣のなかにいた親指ほどのサイズの緑色のツバメが私の右手をしたたかに啄む。まさかこのツバメはここで冬越しをする気なのかと驚き、良く見ると、ツバメではなくゾエア幼生である。
「これで良いか」
 明らかに異物であるので、条件は満たしている。ゾエア幼生とツバメの巣を持って、私は上司のもとに降りたつ。
「じゃあ、次の仕事を割り振るまでちょっと待機ね」
 私はまたテーブルに着く。名前の知らない同僚がピザを3切れほど回してくれるが、いよいよ冷めている。
by warabannshi | 2015-12-27 09:30 | 夢日記 | Comments(0)
祖田修(2000)『農学原論』岩波書店
【目次】
はしがき

第1章 農学原論とは何か
 1 農学原論の系譜と課題
 2 哲学としての農学原論
 3 本書の視点―「場」の農学」

第2章 農業における人間と自然
 1 農業の成立
  1)狩猟・採集・漁労段階
  2)農耕の起源と伝統
 2 農業における人間と自然の関係
  1)家畜と作物―相互依存的共生関係
  2)害獣と雑草―相互排除的競争関係
  3)野生(一般)動植物―棲み分け的共存関係
 3 近代の農業・農学における人間と自然
  1)農業の工業化と生命・環境問題
  2)人間と家畜・作物
  3)農業生産と害獣・雑草
 4 ディープ・エコロジーの自然観
  1)「動植物の権利」の思想
  2)動物の愛護と動物福祉の思想
 5 「形成均衡」の世界と農学の再構築

第3章 現代農学の展開と価値目標
 1 科学の発展と価値
  1)近代科学の成果と限界
  2)科学の専門分化と社会的責任
  3)科学における「価値自由」
 2 農業・農学をめぐる価値とは何か
 3 農学の価値目標―戦後日本社会および農業・農学の展開
  1)「生産の農学」と経済価値
  2)「生命と環境の農学」と生態環境価値
  3)「生活の農学・社会農学」と生活価値
  4)「場の農学」と総合的価値
 4 地域という場

第4章 農林水産業と経済
 1 市場原理と戦後の世界経済
  1)ケインズ経済学と高度成長の思想
  2)比較優位性の原理に基づく国際分業論
 2 「市場の失敗」と「政府の失敗」―資本主義と社会主義
  1)先進資本主義国における高度経済成長
  2)高度経済成長と諸問題の噴出
  3)社会主義国における「政府の失敗」
  4)経済学の課題
 3 市場原理と農林水産業の特質
  1)「農林水産業の特質」論の展開
  2)技術的・経営学特質
  3)多元的価値産業としての特質
  4)地域的特質
 4 世界経済の動向と農業経済
  1)「小さな政府」論と規制緩和潮流
  2)市場原理とその修正―ドイツの「社会的市場経済論」の意義
 5 農業技術と農業経済学の方向

第5章 農林業と生態環境
 1 農林業を規定する生態環境
 2 「人口爆発」と食料・農業
 3 地球環境の悪化と農業
 4 農林業の果たすプラスの役割
  1)生態環境保全の役割
  2)食料自給率の問題
 5 農林業と生態環境をめぐる課題
  1)開発と環境をめぐる3つの立場
  2)新たな自然観・倫理観の確立
  3)持続的農業形成の条件

第6章 農業・農村と生活
 1 農村社会と家族農業経営
  1)農村集落の構造
  2)農村集落の協同性
  3)集落内農地の経済的性格
  4)家族と家の重要性
  5)家族農業経営の目標
 2 生活から見た農業と農村
  1)農作業の総合的人間性
  2)農村生活と文化活動
  3)製造・再編される生の場
 3 農村生活の展望―開放性地緑社会

第7章 持続的農村地域の形成―総合的価値の追求
 1 地域概念の検討
 2 トータルな「生の場」としての農村地域
  1)「生産(経済)の場」としての農村地域
  2)「生態環境の場」としての農村地域
  3)「生活の場」としての農村地域
 3 新たな場の形成―地域における総合価値の追求

第8章 都市と農村の結合
 1 都市・農村論の系譜
 2 ヨーロッパにおける都市・農村結合の思想
  1)田園都市論
  2)都市分散配置論
  3)都市・農村結合政策論
  4)農村間の格差是正と均衡
  5)EU空間整備政策の成立
 3 日本における都市・農村関係の現実と可能性
  1)単一核集中型空間の形成と問題
  2)新たな都市・農村関係の具体化

第9章 農業技術の革新と普及
 1 内発的発展過程と農業者の行為
 2 農業者の行為類型とその意味
  1)先駆的行為(先駆者)の意味
  2)採択的行為(採択者)の意味
  3)適応的行為(適応者)の意味
 3 農業者の行為類型と農業・農村発展の総過程
 4 農業・農村の発展と農学・農政の役割

第10章 農学の特質と研究方法および体系
 1 自然についての科学と研究方法
  1)近代科学の成立
  2)自然科学の特質
  3)自然科学における実験の意義
 2 人間についての科学と研究方法
  1)機械的自然観の普及と人間科学の自立
  2)人間科学の成立と特質
  3)人間科学における「理解と解釈」の意義
  4)理念型と比較
  5)学の哲学と生の哲学
 3 科学方法論の分化と統合
  1)科学方法論の対極化と「過渡地点」
  2)科学方法論の二元性克服をめぐる議論
 4 自然と人間の関係についての科学よ研究方法
  1)実際科学の領域と特質
  2)実際科学における「構想力」の意義
  3)実際科学の研究方法
 5 農学の特質
  1)現代農学の価値目標―価値追求の学としての農学
  2)生命の学としての農学
  3)地域の学としての農学
  4)統合の学としての農学
 6 農学の研究方法の多元性・統合性
  1)農学における自然科学的研究の方法―説明の類推
  2)農学における人間科学的研究の方法―理解と解釈
  3)農学における実際科学的研究の方法―構想
 7 動態的過程としての農学の研究方法
  1)農学研究方法の動態的過程―複雑性と需要統合的方法
  2)農学研究方法の諸段階と意味
 8 現代農学の体系
 9 結び

終章 要約と展望
by warabannshi | 2015-12-23 19:54 | メモ | Comments(0)
佐藤仁(2011)『 「持たざる国」の資源論—持続可能な国土をめぐるもう一つの知』東京大学出版会
【目次】
はじめに
序章: 資源問題とは何か
第1章: 資源と富源 — その始まりと日本近代
 1. 変わる「資源」の意味
 2. 概念規定をめぐる過去の努力
 3. 資源より前にあった言葉
 4. 印刷物を用いた語源の探求
 5. 誰が好んで「資源」を用いたか
 6. 資源保全のアイデアと国際交流
 7. モノとしての資源観の形成
第2章: 国家的課題としての資源 — 戦前の動員と戦後の民主化
 1. 有限性の認識
 2. 松井春生と資源政策
 3. 敗戦と米国流民主主義の流入
 4. TVAを日本に持ち込むことはできるか
 5. 日本の資源と民主主義
第3章: 資源調査会という実験 — 中進国日本の試み
 1. 断片化する資源
 2. 資源調査会の挑戦
 3. 未完の総合
第4章: 「持たざる国」の資源放棄 — 国際社会と経済自立への道
 1. 戦前の国際情勢と資源
 2. 戦後資源外交の論点
 3. 資源放棄への道
 4. 想定される反論と「もう一つの知」
第5章: 資源論の離陸(テイク・オフ) — 高度経済成長と地理学者らの挑戦
 1. 学問対象としての資源
 2. 資源論の胎動
 3. 戦後資源論の出発 — 資源調査会関係者を中心に
 4. 資源論の共通項
 5. 日本的資源論の特性
 6. 資源論の将来と展望
終章: 可能性としての資源
 1. 資源論と批判的精神
 2. 資源論は何の役に立つのか
 3. 民主主義と資源の関係
 4. 日本の経験の国際的な意義
あとがき
参考文献(邦文、欧文)
索引
by warabannshi | 2015-12-23 19:41 | メモ | Comments(0)



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