高校のときの友人たちと、体育館でバスケットボールをやっている。
さりげなく『スラムダンク』の河田(兄)・山王工業もまざっている。それには誰も気がつかない。
パスはよく私に回ってくるのだが、なぜかドリブルがぜんぜんできなくて、ボールに空気が入ってるのか疑問に思う。
しかたがないので、友人・Kにパスを回して、彼にゴール下までボール運びをまかせ、最後にパスを回された私が身長を一メートルほど伸ばして、楽々とダンクする、という構図で、何回か、得点をいれる。身長がなぜ一メートルほど伸びるのか(スーパーマリオのように巨大化するのか)に関しては、誰からも疑問がもたれない。二十センチほどジャンプすることに、ふつう誰からも疑問がもたれないように。
ただ、ダンクに際して、一メートルほど身長をのばしているときには、なぜか広角レンズで撮影された映像に切りかわる。
疑問をもたれないにしても、誰かしらに注目はされているらしい。
体育館は照明が黄色っぽくて、薄汚れている。
前にここは映画館だったからだろうか? と思う。
じっさい、ここはモノリスみたいな駅ビルの半地下にあり、なかば放置されている体育館。
体育館の外には燃えるゴミ、燃えないゴミ、ビン・缶の三つのブリキ製のコンテナがあり、ゴミが溢れだしているせいで、饐えたような臭いがかすかに、体育館の汗くささにまざって、やや苦しい。
ぽつぽつ穴があいたコルク壁には、濃い鉛筆で描かれたとおぼしき、落書き。
たいそう古く、消えかかっては、書き直されてきたようなあとがある。
【パースペクティヴに固執した理解・了解は、戦略の深柵をかならず破壊する】
「深柵」? 「深層」のこと?