イギリス式の庭園にいる。空気にはいろいろな植物の匂いが混ざっていて、長く居ると酔いそうである。
おそらく空から見下ろせば楕円と渦巻きが何重にも重なったように見えるであろう、複雑な道を歩いていくと、広場とささやかな噴水があり、噴水の縁には祖父Tが腰掛けている。
「枯れちゃったよ。奴隷のようにつくしてきたのに」
しかし、Tの周りに、枯れた植物は見当たらない。
戯曲の楽しみにひたるような人ではないので、彼が「奴隷のように尽くしてきた」苗か花はたしかに実在し、すでに彼の手で埋められてしまったのだろう。
「俺なら、まずあいつの脊椎を心配するね」
いつの間にか一匹の犬が私の傍らにいる。犬は私に忠告する。
「わからないのか、あいつは泣き続けていたんだぞ? 干涸びるのは、あいつ自身だ」
祖父Tは肉のない像のように動かず、私は犬に嫉妬する。