私と私の息子の二人で留守番をしている。他にすることがないので、二人してビートマニアをプレイしている。黙ったままの彼は猫背で、中学生のはずだが立つと私より背が高い。
「ちょっと高い所に上ってくるよ」
対戦にも飽きたのか、彼はそう言い残してうるさかった部屋を出る。
私は心配になる。彼がというより、彼の周囲が。
少年というものは概して、パアで無能で、どうしようもなく自分勝手で、わけのわからないことを言って実際に彼自身もわけがわからず、思い込みが強く根拠のない自信だけで生きていてドジばっかり踏む、闘争本能の塊のようなものだからである。まして自分の子であるならばなおさらだ。
煙突のてっぺんに上ると、街を一望することができる。ここで息子を見張ればよい。
隣りのビルの屋上で、アイドル出身のラジオ・パーソナリティーが義援金の募金を訴えているが、彼女の訴えの内容はビルの下にいるたくさんの聴衆に聞かれず、声のみが彼らを熱狂させている。騒いでいる聴衆にひどく腹が立ち、私は腰掛けていたレンガをはがし、彼らに投げ付ける。