ポール・ボキューズの主催するパーティに行く。古川日出男と山本直樹と相席になって、「いままで見てきた変な顔の女の子」について話す。
「顔が、公衆電話の本体な子と付き合ったことがあるよ」と山本氏。
「プッシュボタンの“1”が眼球で、その周りに小さな矢印がくるくる回っているんだけど、それが表情なの。泣いているときとか、なんでか知らないけど、この子泣いてるんだ、ってわかるんだよね」
さらさらとテーブルクロスに筆ペンで「顔が、公衆電話の本体な子」を山本氏は書く。不気味だ。
古川氏も、山でハイキングしていたときに会った「七個の石が積み重なった顔の子」の話をする。「元連合赤軍とか言ってました。レイプされそうになったとき、逆に相手の肛門を破壊したこととか話してくれましたよ」 山本氏はまた筆ペンで怖い挿絵を描く。
そして、次作の単行本の装丁イラストを山本氏に頼むことがその場で決まり、私はこれが大人の仕事か、と感心する。