友人Uとどこかの高校の教室でエヴァ/ヱヴァの話をしている。外はじわじわと雨が降っている。文化祭のさなかであるため、屋台のビーフシチューを食べながら。
「庵野作品において“胎児”は決め球なんだよ。孕んでいることは、だから不可侵の状態としてあつかわれる」とU。
「ミサトさんが妊娠、とかイメージすると、本当に二次(創作)だものね」
「エヴァにおいて出産は、神の出産に限られていた。ヱヴァはどうするつもりか知らんけど」
私はさっきから、このビーフシチューに使われている肉が“ビーフ”ではないのではないかと疑問を感じている。いままで口にしたことのない食感である。Uはぱくぱく食べながら話している。話に夢中なのか、食べられる肉ならなんでも良いのか、わからない。
「そういえば修論が書けたよ」
「おお、そりゃおめでとう。どんな話?」
「注意深くあれ、って話」
Uは“ビーフ”シチューを食べ終わり、煙草を吸いだす。