熊野神社の祭りに問答屋の屋台が出ている。金を払うと、テキ屋のおじさんが禅問答のような意味不明な問いをふっかけてきて、それに(あたうるかぎり)当意即妙な答えを返す。その答えに応じて、観客に配られた「much」と「bitch」のどちらかの札が上がる。
景品は大したことないけど、やりきることに意義がある。型抜きみたいなものだ。
金を払うと、鳴り物でおじさんが客を集める。このときに緊張すると二分後の赤っ恥は確定である。
おじさんは真っ黒い紙を机に叩きつける。
「これがお前の全ての知識だ」
私は答える。
「酔ってるときは千代紙」
テキ屋。
「心眼を持つ絵描きとは?」
私。
「すくたれ者」
「お前の後ろにそいつがいるぞ」
私は振り返らない。
結果はよく覚えていない。