光の射す海底に、長い長い一本の道が敷かれている。平原のような薄緑の海底に、ただ一本だけの道が伸びている。橙色の珊瑚で縁取りされ、白い玉砂利でできたその道は、誰かを歩かせるためというより、むしろ歩くことをためらわせるためのもののようである。私は海面近くを浮かびながら、その道の続く先を眺めている。
透明度の高い、まるでガスのような海水を掻きながら、離ればなれになった仲間たちのことを思い出す。私を含めて7人の仲間がいたのだが、いまは私一人だ。なぜはぐれたのかは知らない。
しばらく泳いでいくと、道が五叉路に分かれている。四本の道は、どうやらいずれもぐるっと弧を描いて元のこの交差に戻ってくるようで、本当の道は、依然として、まっすぐ続いているそれのように見える。しかし、ふと左を見やると、1つの恒星と5つの惑星が、じっくりと回っている。そちらに近づくと、さらに惑星の周りには複数の月が回っており、その緻密さにほれぼれとする。ちょっとでもこの岩石に指をふれれば、互いの引力が干渉し合って崩れてしまうだろう。絶妙な均衡。この奇跡を、離ればなれになった仲間たちに伝えるために、私は海底まで降りて、仰向けになる。恒星の放つ光が、海面に反射するのを利用して、私の腹に、太陽写真のようにこれらの惑星とその軌道を焼きつける寸法である。橙色の珊瑚のひとかけらでも手土産にしようと思ったが、そんなものよりこの模型の存在を伝えるほうが貴重である。目を閉じると恒星からの光が、私の瞼をあたためるのが感じられる。